「風通し」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「風通し」

 電車の窓をやや開けて、冷房を入れるというのが車内でのコロナ感染拡大防止の常套手段として定着している。夏は高温多湿な状態は避けたい。しかし車両だからといって密閉空間に押し込まれることは何か不自然ではないか……と人は思い出している。

 

 風の流れは、肌から水分を蒸発してくれるので、夏場は涼しいし、汚れた空気を換気してくれる効果もあるので、車内の窓開けマナーは大歓迎だ。

 

 アメリカのDIY(Do It Yourself)ショップで自宅を改造する本を買ったことがある。当時はまだ地球温暖化の影響も少なく、エアコンを入れるほどでもない暑さしのぎの方策として家の屋根裏や2階に空気を吸引し屋外に逃がす大型のファンを付けることが提案されていた。地下や1階から入った空気はフロアーをつなぐ通風孔や階段などを経て屋根裏の換気ファンにより外に排出される。住空間に風の流れを人工的に作るアイデアだ。

 

 祖父は日本建築に造詣が深く伝統的な和のつくりと、洋風な間取りを組み合わせた自宅を設計した。私の一番好みの場所は8畳間だった。夏場、ふすまや障子を外し、すだれを垂らすと仏間、八畳、縁側と風が吹き抜ける。昼寝に最適だった。夏休みの絵日記に毎日気温を記録していたけれど、30度を超す日はひと夏に数日だったと記憶している。

 

 昔の乗用車はフロントドアの前寄りに三角窓(Ventilation Window)が付いていた。垂直軸で回すことができ、角度を調節して車内に風を呼び込むことができる仕組みになっていた。三角窓周囲の密閉性に設計者は苦労したと思う。シーリング用のゴムが芸術的な形をしていた…ッケ。三角窓から風を車内に入れることができる車はなんとなくレトロでアナログ的。忘れがたい。

 

 高層ビルでは安全の観点から窓は開かない。新幹線は高速走行するので窓が開く仕組みはない。空気清浄機やエアコンなどに空気を運び循環させる機器が発達した半面、自然の風を楽しむ場が失われてきた。コロナ騒動で空気の流れ、換気が注目されだしていることは自然で健康な生活習慣へ進路を変えてくれている。

 

 「風」や「飛」という字。空気に関係している字。筆の流れを感じるので好きだ。(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    確かに‘風’はさわやかなイメージですし、実際にも心地よいですね。(もちろん台風のような強風には脅威を感じますが・・・)

    私は寒がりなので、夏には職場などで冷房が寒すぎることがあるので不快なことがありますし、省エネの観点からももったいない気がします。

    自然の風や太陽光をうまく活用するのが、省エネにもなるし、健康にも良いですよね。天の恵みを活かすことがwithコロナの時代にも有効となりそうですね。

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