「桐生モデルのスパイク」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「桐生モデルのスパイク」

 2017年9月9日、福井市であった日本学生対校選手権の陸上男子100メートル決勝で、桐生祥秀選手が9秒98をマークし、日本選手で初めて10秒を切った。

 

 その時デパートで買い物をしていたが、周りの買い物客から桐生選手が10秒を切ったらしいという喜びのささやきが聞こえてきた。北朝鮮の挑発行為が心配されていた当日だったので、明るいニュースに買い物客もほっとしたのだと思う。

 

 日本人初の10秒突破である。桐生選手向けに靴を製作したアシックスは桐生モデルを11日正午に売り出した。9足限定で、12日未明までには完売したと報じられている。値段も9万9800円だが、陸上ファンにとってはいい記念になることだろう。

 

 テレビで桐生モデルのスパイクのレポートを見ていた。レポーターがスパイクを持ってまず驚いたのはその軽さだった。片足で120グラム。軽量化のためにスパイクピンは交換できない固定式だという。スパイクピン交換式にできるメカニズムを付けるだけで重くなるのだ。この桐生モデルの単位重量当たりの価値は416円/グラムで工芸品並みだ。

 

 このモデルを購入した人は、決して自分で履いて走らないでほしいとメーカーは言っている。桐生選手の左右の足型を取り、スタートや走法に合わせて靴底からピン取り付け角度まで調整してあるからだ。

 

 今回の桐生モデルは記念販売であるのでプレミアム価格といえる。桐生選手がレース用に購入するシューズはもっと安い価格であろうとは思う。しかし、ひょっとして、メーカーは特定選手にシューズを提供することは技術力を示す絶好の機会であるため、開発での発生費用は、研究や素材開発費まで含めると意外と高いモノなのかも知れない。

 

 シューズを開発する際の冷静にして狂いのない技を想像している。LCAでプロセスデータを作り込んでいく細心の作業と一脈通じるところがあるように思う。一般的によい工程では洗練された技術がバランスよく配置されているからデータの扱いにも注意を要する。

 

 トップを争う場合には、すべてが研ぎ澄まされていなければならない。(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    遂に日本人も10秒の壁を突破しましたね。9秒台を出さないと日本代表になれない時代となってきそうですね。そこには、人間の進化とともに道具の進化も貢献していたのですね。すばらしいです。「トップを争う場合には、すべてが研ぎ澄まされていなければならない。」確かにその通りですね。

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