「ミルク」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「ミルク」

 新聞の書評でも好評だった。明治時代に突然現れたミルク産業についての本である。面白いので一気に読み通してしまった。現代ではあまりにポピュラーなミルクを巡って武士や町人、農民がビジネス化で奮闘していた。

 

 明治がスタートして間もなく、官主導で酪農産業がスタートした。面白いのは相撲の初代高砂親方は100人余りの弟子を抱えていたが、弟子たちが生計を立てる場としてミルク業を起したらしい。東京近郊の小規模な牧場で乳牛を育て、乳を飲料用に加工する。分かりやすいプロセスなので、色々な分野の人が参入したようなのだ。ミルクは高価な飲料であったから、自然の成り行きとして販売、配達の方式、衛生管理などサービスの質の競争になり業界が淘汰されていく。

 

 人工知能(AI)がニュースとして取り上げられたのはこの2,3年のことであろうか。最初は“知能を造る”など、おそれ多いことだと思っていたのだけれど、最近のAIの進歩は仰天ものだ。うまく我々はその計算能力や推測能力を利用した方が得策だ。

 

 「経済産業省は人工知能(AI)のデータ処理などに特化した半導体についてベンチャー企業や研究者による開発を支援する。日本の成長力底上げに向け、新しい分野の物作りを育てる狙いがある」。(日経新聞)

 

 記事に付属した用語解説「AI用半導体」を読むと「AIが大量のデータの計算を同時に進めるのに合わせて、物事の『大まかな傾向』をつかむ力を持つ半導体が必要なのだ」という。確かに、データを無視してはいけない。データに目を通したうえで「大まかな傾向」を速くつかむのは大切だ。LCAの解析作業でもいつも感じている。

 

 「ミルクは商品」という側面の他に「栄養補給」という面でも人々の理解を得ている。AIもその生み出す「サービスは商品」だけれど、超人的なデータ処理能力は「社会に必要なスキル」だ。明治時代のミルクと平成のAIのデビューは何か似ていないだろうか。

 

 両方とも西洋から入ってきた“ビジネスチャンス”!(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    牛乳の産業が明治時代にそのような経緯で始まったとは、とても面白いですね。その他にも、いろんな産業が始まったのでしょうが、時代を超えて生き残っていくためには、牛乳で言うところの「栄養補給の面でも人々の理解を得て、社会に貢献できる」側面が必須なのでしょうね。

    平成のAIが、明治の牛乳、と同じように社会に貢献し、発展していくのか、楽しみですね。

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