「完全養殖漁業」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「完全養殖漁業」

 新聞によると、天然資源に頼らない漁業の研究が大手水産業で進んでいるようだ。マダコやカンパチの完全養殖が視野に入っている。完全養殖とは人工授精させた卵から育てた成魚を親とし、その親同士から生まれた卵をふ化・生育するプロセスだ。

 

 素人目にも、完全養殖となるとシステムが格段に複雑になることが予想される。親同士の掛け合わせ、卵のふ化管理、ふ化した稚魚の成育環境の維持、ふ化した稚魚のための餌の生育と供給、稚魚の選定、稚魚の成長のための餌の供給システム、生けす中の魚の健康管理、生けす水質管理、成魚出荷システム……などなど、おそらく10を超えるサブシステムが完全養殖システムには含まれるのではなかろうか。

 

 ここまでくれば、工業製品を製造する企業と漁業とはシステム運営という点では大差がない。漁業にも品質とか環境保全の概念が必要になるということだ。完全養殖のLCA(ライフサイクルアセスメント)をやってみたいと思う。今までの他の産業と同じように、企業行動をプロセスの集合体として把握し、各プロセスからの環境負荷を把握し、今後の環境面での改善点を見つけ出すのだ。

 

 今まで水産業はいかに効率よく質の良い魚を確保し、鮮度の良さを保つためのスピーディーな物流などで勝負して来た部分もある。完全養殖となると、魚そのものは自ら作り出した製品となる。企業体質の変容に繋がるかもしれない。

 

 テレビ番組「クールジャパン」でたい焼きの話題で一時盛り上がっていた。番組はたい焼きの味や素材について日本文化(?)を論じる場であったが、妙なトリビアを知った。

 

 たい焼きを作るには、一匹ずつを仕上げる焼き型でつくる方法と数匹まとめて焼き上げる型で作る方法がある。一匹ずつ作る物は天然もの、複数のたい焼きを焼き上げる方法によるものは“養殖もの”というのだという。水産業では“養殖”が当たり前になっているという証拠だ。

 

 これからは“完全養殖”の時代ですね!LCAでサポートします。(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    たい焼きにも天然ものと養殖ものがあるとは、おもしろいですね。漁業も養殖が主流になっていくのでしょうか。

    確かに農業に例えると、通常の漁業は、山に自然に生えてくる果物を探して収穫しているようなものなので、これまで、この方法でやれてきたことの方が不思議なのかもしれません。それだけ‘海は広い’ということでしょうか。

    ただ最近は、隣国が大量に捕っていく影響なのか、地球温暖化の影響なのか、種類によっては漁獲量が激減していますので、養殖はとても重要なのかもしれません。真剣に取り組む必要がありそうですね。

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