「筆」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「筆」

 のりで固めた尖った筆が並んでいる。広島から職人さんが出張して、熊野筆を販売しているのだ。「これは3号の筆ですか」と尋ねてみた。自分が使っている3号筆の代替品を買って、書道の練習気分を変えてみようと思ったのだ。

 

 陳列された筆は楷書用、草書用、行書用などと仕分けられていた。私は草書も楷書も練習したい。筆の特徴を職人さんに質問してみた。……。筆職人としての熱のこもった説明を聞いて分かった。毛筆を使い慣れている人は筆の腰の強さや墨の保持力などで書体によって筆の種類を使い分けているようだ。「よい筆は筆の穂先に墨が十分供給されるので書きやすい。使用後、ぬるま湯で洗って使えば長持ちするヨ!よい筆は結局、買い得だ。」

 

 3千円ほどの筆を選んでみたが、まず、このサンプル筆で字を書いてみてくださいと言われた。「太平洋」と書いてチェックしてもらう。「それではこの筆がいいでしょう」と2千円をわずかに超える筆を勧められた。初心者であることを見透かされたか……な?

 

 この筆を自宅で下ろして草書の練習をしてみた。大変書きやすい。墨の保持力も十分だし、軟らかくしなやかだ。使い慣れているもう一本の筆で書くより気持ちよく書ける。練習中の「香」という字の草書体を書いてみた。軟らかい線で優雅な筆運びができる。

 

 「弘法筆を択ばず」といわれる。「力量があればどんな筆を使っても、うまくかける」という意味だと思っていた。ところが今回おろしたての熊野筆を使ってみて、筆によって字を書く気分が変わってくることに気が付いた。“書くと気分が良く、上手く表現できる”。……どうも私は“力量があれば道具を選ばない”という誤った解釈をしていたようだ。

 

 世の中で言われていることは「弘法大師はどんな筆でも立派に書き得るだけの力量がある」という三筆の一人空海を尊敬する言葉だったのだ。

 

 確かに、道具は大切だ。LCA(ライフサイクルアセスメント)においても、LCAソフトCaBiは気持ちが良く軽やかに結論を導いてくれるし、データベースも潤沢だ。

 

 LCAソフトのデータベースは、筆に含むことができる十分な墨量のようなものだ。(L)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    道具を使って得られる「成果、経験、思い出」など道具によって得られたアウトプットが大切なことはよくわかりますが、その道具の果たす役割は、やはり大きいのでしょうね。

    筆と言えば、習字の筆や図画の筆など学生時代を思い出します。逆に言えば、学生時代以降、まともに使用したことはありません。

    現在はお陰様で仕事で忙しい日々を過ごさせて頂いていますが、数年後に落ち着いたら、もう1度「筆」を握ってみましょうか。下手な字、下手な絵ですけど・・・

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