「線状降水帯予測」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「線状降水帯予測」

  6月1日から気象庁は「線状降水帯予測」を始めるという。まだ十分発生メカニズム調査ができていない研究段階での予測宣言である。だからはずれが多いだろうと思われる。

 

 過去の「顕著な大雨に関する情報」(2019年から21年)を検証したところ、予測した地方で発生を的中できたのは4回に1回。予測できずに「見逃し」は3回に2回程度だったという。異常な気象状況発生のメカニズムの解明途上の研究と受け止めている。

 

 線状降水帯とは、「複数の積乱雲が列状に並び、風上側で新しい積乱雲が発生しながら風下方向に移動する現象が繰り返し数時間継続することで引き起こされる集中豪雨」を慣例的に読んでいる。積乱雲が継続的発生し、強雨域が停滞し続けるエネルギー源となるのは大気下層に水蒸気が十分すぎるほど存在しているからだ。

 

 つまり“線状降水帯の研究は水蒸気を作り出す、あるいは水蒸気が作り出すエネルギーの研究のような感じなのだ。”……と理解している。目に見えない水蒸気の研究なので、メカニズム解明には時間がかかると思う。

 

 困難だが夢のある大きな目標に向かって進んでいく、ムーンショット目標的だ。日本政府は「ムーンショット型研究開発制度」を2019年に開始している。その内容を見ると、「2050年までに……とか、2040年までに……」というように表記されている。これでは、“あなたの生きているうちに成果は出ません”と言っている印象だ。

 

 線状降水帯予測は数年のスパンで、10年未満で解明を進めてもらいたい課題だ。今から20年後、線状降水帯メカニズムが分かりましたと言われても、我々は異常気象に打ちのめされているでしょう。人々の防災面での期待はそれだけ大きいと思う。

 

 地球温暖化も影響しているのではないかと感じているが、「原因は地球温暖化」でしたと口に出す前に、もっと精密なメカニズム研究を発表し、“警報発令の特異点”を見つけてほしいと思っている。

 

 気象学、環境学では正確な推論が必要だ。(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

     いよいよ梅雨も本番を迎えようとしています。特に梅雨末期の豪雨には警戒しなければなりません。中でも注意しなければいけないのが「線状降水帯」ですね。毎年のように大きな被害を出しています。
     線状降水帯は、その発生の予測が難しいそうですね。そもそも梅雨前線の位置が少しでもずれると天気に影響するのですが、微妙な位置にある時は予報が難しいですね。1年の天気予報の中でも梅雨前線の微妙な影響を受ける時の予報の難しいさは毎年感じるところです。そこに線状降水帯が来ると本当に予測は難しいですね。発生する可能性を考えて事前に十分な備えをしておかなければならないですね。

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