「高吸水性樹脂」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「高吸水性樹脂」

 紙おむつなどで大活躍している高吸水性樹脂。この高吸水性樹脂をリサイクルすることで二酸化炭素排出も削減しようという研究が進められている。水を吸った樹脂は再利用しにくく、焼却処分すると二酸化炭素排出により温暖化の原因にもなるからだ。

 

 自分の重量の千倍もの水分を吸収する魔法のような高吸水樹脂。紙おむつとして、我々の日常生活の中で大変便利に使われているが、それだけではない。農業では土壌保水材料、育苗シートにも使われている。建築分野では止水シートとしても使われている。

 

 1928年、トーマス・ミジリーは、「フロン」と呼ばれる「奇跡の化合物」を発明したと賞賛された。20世紀の人類が発明した、自然界には存在しない人工物質。冷蔵庫などの冷媒に理想的な気体であった。不燃性で、化学的に安定しており、液化しやすいからだ。しかし、1974年フロンが大気中に放出されると上空の成層圏まで上がり、オゾン層を破壊してしまうというメカニズムが発見された。そして。「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が1987年に採択、1989年発効と地球環境保護の歴史へとつながる。

 

 高吸水性樹脂自身は環境に害を与えるわけではないが、資源のリサイクルというフェーズで、いま新たな研究が佳境に入っている。新しい物質の誕生にはライフサイクルを検証することが大切だということを改めて確認している。

 

  環境省は令和2年3月に「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」を公表。紙おむつをパルプ部分とプラスチック部分に分け、パルプは建材として、プラスチックは樹脂成型品として再利用すると示されている。

 

 業界ではさらにその先が研究されている。高吸水性樹脂を水の吸収だけでなく、吸った水の排出も容易にできるようにならないかという研究だ。高吸水性樹脂は「浸透圧」で水を吸収する。イオン濃度の低い液体が、イオン濃度の高い液体に移動する。つまり、高吸水性樹脂の内部はイオン濃度が高いので、水を吸収(きゅうしゅう)する。しかも、取り込んだ水をゲル状に固めてしまう。これからは、封じ込められた水分を取り出すメカニズムの研究ともいえる。

 

 リサイクルで“再生”高吸水性樹脂の誕生を期待している。(A)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    「高吸水性樹脂」人々の生活にたいへん役立っており、すばらしい技術ですね。但し、使用済みの後どう処理するのか、それが必須の課題となってくる訳ですね。

    その昔、仕事で環境対策推進部署に在籍したことがあり、ちょうどその頃、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が発効しました。懐かしい思い出です。たいへん重要な取り組みですが、たいへん難しい課題ですね。

    リサイクルの取り組みが有効に機能し、環境負荷低減に貢献できることを願っています。

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