「適度な距離感」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「適度な距離感」

 日曜日の昼前、消防車が空気を切り裂くような音で近づいてくる。我が家の前を通りすぎたところでて音は消えた。大きな消防車が2台。間に救急車。後ろには消防署の車。更にしばらくしてパトカーまで到着した。

 

 家に近い現場なので火事ならば一大事だ。恐る恐る現場近くまで足を運ぶ。近所の方々も気になるので、かなりの人が出ている。幸い消防車は停止したままで、火事ではなさそうだ。ただ、救急車の隊員は水色のつなぎタイプの防護服をまとい、これから患者を病院に搬送するために忙しく準備をしている。

 

 家に戻って「火事ではなさそうだ。救急患者のようだ」と報告。どこかと問われても大方の場所は説明できるが、どんな人が住んでいるのかも知らない。「道路は通行禁止になって、侵入できないようにロープが張られた」と追加の説明をする。

 

 まさかコロナ患者ではないだろうとは思う。救急隊はいかなる場合も気を抜いて対応できないから、つなぎタイプの防護服を着て家に向かったのに違いない。これが良く知っている家族だったら私はどう対応しただろうか?……救急車が来たら、慌てて電話でもしているかもしれない。

 

 同じ町内とは言え、都会の中の“適度な距離感”のおかげで、消防車や救急車に道が埋められても冷静に対応できたのだ。十分な知識がない方が気楽な場合もある。

 

 コロナ禍でオンライン会議やオンライン飲み会などが幅を利かせている。しかし、多くに人はオンラインでの交流の不便さや物足りなさを感じているという。そのような人は昨年よりも今年はさらに増えている。オンラインで見かける短い会話の羅列や報告そして時間の拘束にはうんざりしているのかもしれない。

 

 アナログの通信の温かみや、早さだけでない情感の伝わりなどに惹かれる人も多いという。アマチュア無線、文通、電報など懐かしい手段も見直されているようだ。

 

 適度な距離感に救われた。心地よい距離感。これもソーシャルディスタンス?(C)

 

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    コロナが終息してもコロナ以前の生活がそのままでは戻って来ない、とよく言われますが、ソーシャルディスタンスもその一つかもしれませんね。
    もちろんコロナ終息により、緩むところはあるでしょうが、ある程度の距離を保つ習慣は残るかもしれませんね。

    アフターコロナの世界はどうなるのでしょうか。ここまでの惨禍に見舞われたので、プラスの方向に進んでいけると良いですね。

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