「情報爆発」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「情報爆発」

 昨年末、読んだ記事で衝撃を受けた。通信量の増加により光ファイバー通信網の容量が足りなくなる恐れがあるというのだ。人命に関するコロナと比較はできないけれど、社会の仕組み崩壊という点ではコロナ同様、恐ろしい記事だ。

 

 光ファイバーというのは、従来のメタルケーブルに比べ膨大な通信容量を持っていると信じ切っていた。高速通信規格「5G」の登場やテレワークの普及による通信量が伸びているとは聞いていた。しかし、あの光ファイバーをもってしても限界に近付いているという。

 

 デジタル通信というのは光の得意分野だと思っている。メタルケーブルに比べ、信号の要素である“0と1”の切り替え速度は格段にスムーズで速い。切れが良い……のどごししさわやか…。だから、光は圧倒的に容量を伝えられる通信媒体だと思っていたのだ。

 

 05年の伝送容量は光ファイバー1本あたり毎秒1兆ビットだったが、現在毎秒十数兆ビットになっている。国内ネット上で2020年春に通信されていた情報は、新聞に換算すると1秒ごとに約800万部分の情報量にもなるという。

 

 情報爆発時代が来るのだな……。現行の光ファイバーは毎秒100兆ビットまでしか伝送容量を挙げられない。それ以上の情報を送ると通信に使うレーザー光が強くなりすぎ、光ファイバーが溶ける恐れがあるからだ。驚異が現実となれば通信が滞り、業務効率化や働き方改革に影響が出かもしれない。

 

 光ファイバーのメーカーは通信容量確保に向けて新しい光ファイバーシステムの開発を進めている。従来の光ファイバーはコアと呼ぶ光信号の通り道が1本につき1つしかなかった。「マルチコア」というアイデアでは1本のケーブルに4~5本のコアを持つ製品も試みられている。更に、1本のコアの信号の質を落とさないようにするアイデアも研究されている。コアを太くして1つのコアの中で光信号が複数の経路を取れる「マルチモード」の光ファイバーを開発するアプローチも取られている。……どんなシステムが良いのか?どんな材質が良いのか?こんなところにもLCAの活躍する場がありそうだ。

 

 光ファイバー分野で特許戦争中。エンジニアに期待するところ大。(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    そんな危機が迫っているとは全く知りませんでした。私も快適に使わせて頂いていますが、まさか「切れが良い……のどごししさわやか…」(スーパードライですね)な光ファイバーが限界に近づいているなんて・・・心配です。

    デジタル庁が創設されるなら、是非インフラにも目を向けて頂き、ハード・ソフト両面からの推進を図って頂きたいですね。

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