「塩釜」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「塩釜」

 塩釜市の公式サイトへのアクセスが急増しているという。10月に公開された劇場版アニメ「鬼滅の刃」ファンからのアクセスが増えているのだ。

 「鬼滅の刃」というアニメはまだ見ていないが、その主人公「竈門(かまど)炭治郎(たんじろう)」という名前から「竈」という21画の字の筆順が気になって市の公式サイトへのアクセス増につながっている。

 

 塩竈市は、宮城県の中央部の小さな港町。もともと鹽竈神社の鳥居前町として発展したので、市の名称を鹽竈とすべきであるが、鹽の簡略体である塩を使い市名を塩竈と表記している。「塩竈」とは本来、製塩用の竈(かまど)を意味する。現在の塩竈市を含む湾岸地域一帯で古くから製塩が盛んだったことに由来する地名だ。突然の漢字「竈」筆順騒動で、思わぬ“注目が集まる福”が塩釜市には飛び込んできたといえる。

 

 竈という字は釜とは本来違う意味だ。釜というのは調理用の容器を指すものでPot の一種だと思えばよい。一方、竈(かまど)はなべ・かまなどをかけて、その下で火をたいて煮たきするための設備である。土間にどんと構えた竈は家の中心としての存在感は高い。だから漢字を見ても安定感があり、手を合わせたくなるような気品がある。

 

 竈という字は上部が空、下部が複雑な亀のような字で構成されている。書き順で問題なのは下部の亀のような部分である。亀ではない。背骨としっぽに相当する縦画が2本あることで字の形態が複雑になっている。書き順では縦画の右を書き、左の縦画が14画目である。どっしりした竈の風情で、仕切りの左右に焚口があると勝手に思っている。

 

 コロナ騒動でふさぎがちな気分であるが、「鬼滅の刃」ファンの好奇心に背を押されて、海辺で海水から塩を作る製塩分化に思いをはせることができた。藻塩というのもおいしいと聞いている。試してみよう。昔から愛でられた味に違いない。藤原低下の百人一首を思い出す。藻塩を作るために濃厚な海水がしみ込んだ海藻を焼く景色が頭の中を流れる。

 

 来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや 藻塩(もしほ)の 身もこがれつつ

 

 塩に対する何気ないリスペクト感がいいな。塩竈という名もいいと思う。(L)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    私は全く「鬼滅の刃」を見たことも読んだこともありません。世間で盛り上がっているので、見てみようかとも思いましたが実現していません。いろんな話題に付いていけなくなる自分が少しさびしくも感じますが、自然体でいれば良いのかなとも思っているところです。

    塩竃市は、その地名から製塩が盛んだったのですね。3.11からの復興が進んいるものと思います。どうか順調に復興していければと思います。

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