「水平リサイクル」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「水平リサイクル」

 ユニ・チャームは紙おむつの水平リサイクルを事業として始めると発表した。技術的にリサイクル工程が検証され、いよいよ事業化の準備に入る。

 

 使用済み紙おむつからパルプを回収する。使用済み品を破砕し、取り出したパルプをオゾンで滅菌し、新品のパルプと同等の品質に戻すという術だ。

 

 パルプからパルプへという点が注目される点だ。同等の品質の材料に戻すというリサイクル技術を水平リサイクルと呼ぶ。水平リサイクルの利点は何度も同じ商品に作り替えることができるので、資源を長期間、循環して使うことをめざす。新たな他の物質と混ぜ合わせて再び製品の素材に使うリサイクルをカスケードリサイクルという。カスケードリサイクルの場合、素材の純度がリサイクルのたびに下がるので、何度もリサイクル使用することができない。

 

 そもそも、水平リサイクルは資源を何度も循環させるという夢を実現するサイクルである。金属の場合理論的には金属精錬という工程で元の金属と同品質の素材が得られるので、水平リサイクルのコンセプトに近い素材運用ができる。今回のように植物素材であるパルプを水平リサイクルするというのはユニークだ。自然保護にも役立ちそうだし、……さらにチャレンジ的な発想が……生まれ、定着する気がする。

 

 リサイクルの定着のためには、リサイクル技術に加え、使用済み製品をどのように効率的に回収するかというシステム作りがポイントだ。工場から、商品を各地に散らばすのは考え抜かれたルートと手段があるかもしれない。しかし、市場で分散した使用済み品を効率よく回収するのは大変なことだ。社会に根付いた回収システムの協力も仰ぎたい。

 

 ライフサイクルアセスメント(LCA)のソフトではリサイクルシステムを検証するために、物流面でもプログラムできるようになっている。工場からの製品をどのようにお客様に届けるのか。使用済みの製品をどのように回収するのか。……意外と物流環境ゲームのようで楽しいが、その検証作業が合理的な結論に導いてくれるはずだ。

 

 ふわふわのパルプのリサイクル。植物繊維を何回も利用できる世界。面白い。(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    「水平リサイクル」はたいへん重要な技術だと思います。ぜひ上手くシステムが回って行けば良いと思います。
    ポイントは、ご指摘とおり、使用済み製品の回収が上手く行くか、それとコストですかね。紙おむつだけでなく、いろんな製品が水平リサイクル可能な社会を目指していかなければならないですね。
    その際にはライフサイクルアセスメントが重要な役割を果たすことになりますね。

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