「次世代電子部品」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「次世代電子部品」

私が気に入っていた中国製のデジタル温度計/湿度計を水につけてしまった。暑い日がまだ続くといわれているのに、とんだことだ。液晶表示部は真っ白になって機能不全。冷静を装い、まず裏ブタをあけ、回路基板の固定ビスも外し、回路基板本体、回路上の素子、液晶本体、液晶固定用のゴムなどの水気をティッシュペーパーで丁寧にふき取る。すると何と表示が回復した。愛着のある小物だったのでうれしかった。

 

回路基板は大変きれいでコンパクト、ケースも理にかなった成型、原価低減の設計思想が反映され、無駄な部分がないように思われた。設計者はまさか水につかることを想定していたとは思えないが、私のつたない回復作業で直ってくれた。その製品のタフさが気に入った。中国の基本技術、電子素子が支えてくれたのだと思う。

日本はいろいろな面で中国やアジア諸国に追いかけられているが、電子回路、電子素子などの面でもアジア勢の足音が聞えてくるような気がした。

 

電子情報技術産業協会(JEITA)によると、世界の電子部品市場における10年の日本企業のシェアは約40%になる見通し。アジア企業の追い上げで06年の約50%から10ポイント低下する。日本企業は微細加工や省電力の技術を組み合わせ、付加価値の高い電子部品や高機能電子部品の開発を急いでいるという。

新聞記事によれば、有望視されているのは、わずかな振動や熱をもとにして微小な電気を発電する発電電子部品、その電気でセンサーなどを動かし、データを無線で送る通信機能も備えている。さらに、電子部品の上に微細な振り子などの機械構造を作りこんだセンサー、デジタル機器のチップ間の配線などを無線に置き換えるワイヤレス接続部品などだ。

 

発電電子部品や、高機能電子部品の実用化が待ち遠しい。自動車の場合、センサーやスイッチを電源なしで動かし続けることが出来るようになり、高機能電子部品からの加速度情報を組み合わせた新しい機能制御が可能かもしれない。データ伝送用のケーブルも大幅に減りかつ軽量化されるだろう。

 

LCA(ライフサイクルアセスメント)のソフトウェアGaBiには追加データベースとしてかなりの電子部品の製造環境負荷情報が備えられている。これからの産業を支える次世代電子部品の材料、製造方法を含めた環境情報整備にもぜひLCAを使ってもらいたい。

 

産業のコメといわれる電子部品の環境情報を充実する必要があるだろう。小さな誠実さと信頼が積み重なって力となっていくはずだ。(L

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