「擬人化」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「擬人化」

日本では森羅万象に魂がやどると考える人が多い。小惑星探査機“はやぶさ”が帰還し、カプセルが豪州南部の砂漠地帯で回収された。“はやぶさ”をあたかも人や感情を持っている動物のように見守り、苦難の末の成功に共感した人もかなりいるらしい。「はやぶさ君」として人気があった。これって日本人のいいところかも知れない。

 

日本のモノに対する擬人化は西洋におけるバイブル的な規範には及ばないまでも、独特な価値判断尺度になっている。「もし人間なら・・・」という発想で、機械をあたかも感情のある人物や動物にたとえて理解し、その結果に落胆したり喜んだりする。日本人は機械を身近な存在として受け入れる素地があるのだろう。

 

鉄腕アトムのとらえ方でも、日本と西洋では違うという意見を聞いたことがある。西洋社会ではロボット自身が人間のように二足歩行する概念にどこか抵抗があると聞いている。人間と同じような機械を人間が作り出すことに違和感を覚えるということだ。日本人にしてみれば、人間社会の一員としてロボットは仲間だと思う。だから人間のような二足歩行ロボットも住宅やビルの中でも人間社会インフラに馴染むのではないかと考える。この文化のギャップは意外に根強いのではないか。

 

「もうすぐ かえるからね」と“はやぶさ”に言わせる日本人のモノに対する接し方、とらえ方は捨てがたい。この感覚がこれからの日本のモノ作りに随所にいかされていくことを期待したい。モノを擬人化して考える日本人の特性も製品開発の一つのバイブルになるかも知れない。

5月下旬に日本でも売り出された多機能携帯端末「iPad」は街の評判もいい。一方、将来の日本人が設計する多機能携帯端末はどんなものになるのだろうか。「大量生産のコンピューター端末になるのか“はやぶさ”になるのか?」。

 

LCAソフトGaBiという名称も女性の名前を拝借したもので、人間味の漂うソフトである。これが、聡明で、いい加減なデータ処理をすると手抜きを注意する気丈夫な女性で、環境負荷の解析をあらゆる面で手伝ってくれる。信頼できる仲間だ。

 

擬人化するクセは漫画やゲームの悪影響だと思っていたが、これは個人が気軽に設定できる価値判断尺度なのだと思うようになった。(L