「はやぶさ」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「はやぶさ」

2010613日小惑星探査機「はやぶさ」が戻ってきた。地球を飛び立ったのは200359日。3億キロ離れた小惑星イトカワに到着し戻ってきた。1927年リンドバーグが単葉単発単座のプロペラ機でニューヨーク・パリ間を飛び、大西洋単独無着陸飛行に成功したのに匹敵する快挙である。

 

はやぶさに課せられたミッションは5つあった。①イオンエンジンによる惑星間飛行②目標近辺での探索機の自立航法③小惑星のサンプル調査④イオンエンジンと地球の重力を利用したスイングバックといわれる加速方法⑤地球表面200キロからの再突入カプセルの冷却方法などである。全ての項目をこなして戻ってきた。

 

そもそもイトカワという宇宙ではゴミのような小惑星に到達し、着陸したことも感激だが、帰還できたところにもドラマ性を感じる。

はやぶさはサンプル採取後姿勢制御の化学エンジンが故障し、やっとイオンエンジンで地球への帰還の途に就いたにもかかわらず、今度はイオンエンジンも不調。バッテリーも故障したので太陽電池の発電したわずかな電力が頼りの飛行。姿勢制御にイオンエンジンの燃料であるキセノンガスを噴射するという目的外の使い方で体性を立て直し、その後、キセノンガスを節約するために太陽光の圧力を利用した姿勢制御を行う。

満身創痍の探索機を地上の運用チームが知恵を絞って帰還させたことがすばらしい。

 

月に人類初の足跡をしるしたアポロ11号から約8カ月後の1970411日。アポロ13号が打ち上げられた。アポロ13号が32万キロ飛行して月周回軌道に迫ったところで、機械船の酸素タンクの一つが爆発してしまった。宇宙飛行士3人は月着陸船に逃れ、無事帰還を果たした。

この場合も地上の管制チームが帰還に向けてあらゆる可能性を追求したという。「管制官は、あらゆる選択肢を試すよう訓練されている。選択肢がなくならない限り、問題はない。これが良い例だ」と元管制官は当時を振りかえって述べている。

 

はやぶさの地上運用チームもあらゆる選択肢を総動員し、試したのだ。「選択肢があれば道が開かれる」ということだろうか。「仕事を進めるにあたっては選択肢をたくさん持って、不測の事態に備える」ということを今回のはやぶさ帰還から改めて学んだ。

はやぶさの運用に係った方々ご苦労様でした。立派です。(C