「“火星への旅”実験」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「“火星への旅”実験」

「男6人「密室」で520日」新聞記事タイトルをみただけで、とんでもないと思った。

“火星への旅”実験が201063日、モスクワではじまった。想定される「帰還」は201111月。広さは約500平方メートルの密封された実験棟。JRの車内の混雑を想像してしまい、自分ではとても耐えられそうもない。肉体的、生理的、精神的な反発がまず頭に浮かんだ。

 

実験期間中、密閉空間の中にあるが、別にしきられた「火星」へ、シミュレーターを使って「着陸」を試み、30日間滞在するというプログラムも組み込まれているらしい。520日間、ミッションが連続的にあり、チームとして達成感があることがチームワークを維持できるかの境目。この実験プログラム立案者であるロシア宇宙庁や欧州宇宙機関の本当の苦労はこんなところにあるのではないだろうか。

 

ライフサイクルアセスメント(LCA)はライフサイクルで環境にどのような影響が出るかを知る解析手法である。言い方を変えれば、ライフサイクルでの環境シミュレーションである。コンピュータ上でモデルを組むから、将来、どのようなライフサイクルシナリオになろうとも、そのシナリオに対応できる。将来改良でどの部分をどう変更すれば環境負荷が少なくなるかは、コンピュータ上で予測することができる。データや情報が基本になるので、LCAシミュレーションに肉体的、精神的な負担はない。こんな便利な実験ができるLCAは極めてよくできたツールであると思いませんか。“火星への旅”実験に比べて。

 

たしかに、自動車部品でも、10万キロ補償といえば、10万キロ分の振動試験や耐久試験をやっているが、人間が実験の素材になることはない。長期惑星間旅行という夢の実現には人間を実験対象にせざるを得ないのかも知れないが、いまのロケット技術を考えると、何か野蛮な気がしてならない。もっとスペースのあるロケットや宇宙船の可能性が見えてからでは遅いのだろうか。途中で一休みして火星に行けばいいのではないか・・・とか、つい軟弱な解決策を捜したくなる。そんな甘いものではないほど、惑星は遠いところにあるということだろうか。そんなに早く火星に人を送り込みたいのだろうか。

 

  でも、私はやりすぎだと思う。“火星への旅”実験で分かることが本当に役立つのだろうか。(A