「ニューノーマル」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「ニューノーマル」

駅の自動券売機の案内表示灯の上に今年もツバメが巣作りを始めた。突然駅にあらわれた自然観察教室。子どもたちや通勤客は不思議そうに眺めている。エッ、今年もマタここに。でも、みんなの眼差しはどこかやさしい。

10年程前は駅舎の外側の軒の下に巣を作っていて、絵本によく出てくるような光景だったのだが、昨年から駅にやや入り込んだところに巣を作るようになったのだ。「ツバメ君、実は自動券売機の側に巣を作ってもらうと利用者はフンをよけたり駅員さんは清掃したり大変なんです」ともいいたいのだが。

ツバメにも事情があるに違いない。ツバメの気分の揺らぎかもしれないし、自然環境にもニューノーマルが生まれているのかもしれない。

ニューノーマルとは米国の金融関係者が使い出した言葉といわれる。リーマンショックなどの金融危機が去った後、“新しい経済の枠組みに変わってしまった”ということのようだ。昔と同じ状態に戻ることはない。「新しい通常」「新しい常態」がニューノーマルだ。

この言葉、飛び跳ねていた昔と違って、不況下の現状では新たな模索が始まり、価値判断やルールが変わり、徐々に定着化しているような場合に使えそうな単語だ。「昔は・・・」と繰り返すのはやめて、新たな一歩を踏み出すときのキーワードとして使いたい。

環境に配慮した製品やシステム(仕組み)もライフサイクルの一部分だけを見たエコの切り売りは通用しなくなっている。製品のライフサイクル(資源採取、材料製造、部品製造、輸送、使用、廃棄/リサイクル等の各段階)で環境負荷を見るとスッキリする。コストと環境性能の関係も分析できる。改善点も明らかになる。市場への環境アピールもクリアになる。高級な材料を使ってもライフサイクルのトータルの環境負荷は小さくなるという朗報が期待できる・・・場合もある。

LCA(ライフサイクルアセスメント)で環境性能をチェックするのがニューノーマル」だと思いませんか。

2010518日「地球温暖化対策基本法案」が衆議院を通過した。温暖化ガスを2020年までに1990年比で25%削減するという政府目標が正式に盛り込まれた。いよいよ環境を主軸としたニューノーマル時代が本格的に始まる。(C