「ある日突然」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「ある日突然」

始祖鳥の化石の研究が進んだ。新聞の記事によるとそれは鳥の祖先と呼べないかもしれないというのだ。滑空するだけの恐竜なのではないかという説である。「始祖鳥」という進化体系の中で別格な名前をもらったこの生き物も自ら体を浮き上がらせることもできない“並み”の恐竜の一つだったのか。

 

科学技術が進歩すると、今まで分かりやすいように自分勝手に組み立て、バランスを取っていたつもりの思考体系がある日突然崩れることがある。「素粒子」という定義も同じこと。物質の根源は何かという問題を解明する枠組みとして、電子や陽子、中性子などは素の粒であると定義し、素粒子と呼ばれた。ところが90年代に陽子や中性子もクウォークという粒子の集まりであることが分かり、「素粒子」という名前と実態がそぐわなくなってしまった。だからといって、日常の生活が変化したこともないのだが、とにかく・・・科学の進歩を実感する。

 

「ある日突然、2人は黙るの・・ただの友達がそのとき変わるの・・」トワ・エ・モアがかつて歌っていた。そんな気もした経験がある若かったころ。懐かしい歌である。状況が変わることはあたりまえ。人間関係だけでなく、社会も、科学もいつも変わっている。進歩し続けている。

 

新型ロケットで軌道に衛星を直送するというアイデアも「ある日突然」事例に近い。一般人が思ってもいない進歩の気配がきになる。JAXAと三菱重工は共同で、主力ロケット「H2A」をもとに多段噴射タイプの新型ロケットを開発するという。新型ロケットは衛星を搭載したまま長時間飛行。目的の軌道へ衛星を直送する。これまでのロケットは途中の2段目で衛星から離れ、あとは衛星が自分のエンジンを噴射しながら軌道を修正していた。新直送方式により、衛星側は燃料を約3割節約でき、衛星を運用できる期間が一般的な15年から19年に延びるという。

 

「ある日突然」事例はただ待っているだけではやってこない。・・・ということも古今東西の先人が示してきたことで自明。私としてはLCA(ライフサイクルアセスメント)がもっと製品開発に役立ってもらいたいと考えている。製品選択に役立ってもらいたいと思う。ハッピーな「ある日突然」を目指して考え続けている。(A