「たばこの吸殻」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「たばこの吸殻」

家の周りを掃除している、小さな箒で掃いていると、単純な動作が雑念を払ってくれる。散歩する人が気持ちよく歩けるように。桜の季節も終わりに近づいている。散った花びらはシワシワになって多少わびしいが、桜散る風情を作ってくれたことを桜に感謝したい。でも、桜の花びらに混じるたばこの吸殻は気分を暗くする。違和感あり。

 

路上喫煙が禁止になっている地区や自治体が多くなった。しかし、ルールを破る人は後を絶たない。雨の日、傘に隠れて、吸殻をわざわざ自分から離れた車道に捨てる人。車が一時停止すると窓から捨てる人。そもそも路上に吸殻を捨てる人に対して微塵の尊敬の念も払えない。ビジネスで尊敬する人でも吸殻をポイと路上に捨てる現場を見るとその瞬間に裏切られたような空白が漂う。自分の行ったことの結末は自分でつけてもらいたい。廃棄物は廃棄物処理の仕組みに戻してもらいたい。携帯吸殻入れもあるし、車に吸殻入れだって付いている。

 

日本では1970年代に公害が社会問題化し、環境に対する企業の取り組みが強く求められるようになった。環境庁が設立され、法的な規制が整備されてきた。エネルギーや資源を消耗して生産活動を行う「動脈管理」は企業が担い、エネルギーや資源の再生・再利用にかかわる「静脈管理」は自治体など公的セクター主導で行われてきた。「静脈処理」に関し、企業も我々生活者も人任せの風潮があったかもしれない。しかし、2000年前後に相次いで施行された容器・包装リサイクル法、家電リサイクル法、循環型社会形成推進基本法などは、「静脈処理」も企業や生活者もそれなりに役割があるとされている。

 

物を使い、消費する場合は最後の段階まで責任をもって処置したいものだ。循環型社会形成推進基本法の精神にそって、物は正しい処理ルートに戻すことが大切なのではないかと思う。たばこの吸殻はリサイクルできないだろうが、「適正な廃棄処理」ルートに責任をもってのせてもらいたい。

 

フィニッシュがきれいなものは多くのものが成功している。ゴルフスイングだってそうだと聞いている。せめて、吸殻のフィニッシュもスマートに。(A