「3D元年と小心者」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「3D元年と小心者」

先日電車の座席を見て驚いた。7人がけのシートすべての人が携帯電話やゲーム機を見ていたのである。別にグループではない。何か新しい情報がないと不安になるような世情なのだろうか。全員の目が画面に注がれていて、電車に乗っているという現実から一歩距離を置いているようにも思える。

 

画像がこんなに普及している時代は今までなかったのではないだろうか。電車のドアの上の2画面の液晶ディスプレーもかなり普及してきた。駅名がはっきり表示されるので大変便利になった。ふと不安になって、駅名を確認したいと窓越しにきょろきょろすることもなくなったし、乗り継ぎ列車の遅延情報なども分かる。駅名表示の隣のディスプレーからクイズや豆知識を仕込むのにも手ごろである。列車内情報LANのおかげである。

 

今年は3D3次元)元年ということで、映画や、テレビ、ゲーム機に一斉に3D対応が進んでいるということだ。

映画のデジタル化が進んで、アナログ時代より3D作品を作りやすくなった。ニュージーランド首都ウェリントンではニュージーランドのCG制作会社グループが「ロード・オブ・ザ・リング」に参加してからこの仕事が評価された。今や3D映画を支える主要メンバーになってしまったニュージーランド。世界中から制作依頼が来るようになった。政府も映画産業の育成に力を注いでいるため、「ウェリウッド」とも呼ばれる盛況ぶりだそうだ。羊やワインの国が新しい公害のない産業を見つけたということだろうか。

 

日経新聞によると3Dテレビを「家庭で見たい」と答えた人が55%もあるという。本当にこれから3Dが主流になるのだろうか。3Dは魅力ある表現であるが、家庭でテレビを見ている家族が、何かサングラスのようなものを一斉にかけて映画やドラマを見ている光景を想像するとあまりぞっとしない。フィルターを通さなければ同じ情報が入らない。感動が共有できないということが気持ち悪いだけなのである。

 

3D映像は分かりやすいだろう。感動も十分あるだろうとは思う。理屈なしに楽しめる時代がくる予感。でも、・・・だから、思考能力や想像力が衰えないように注意して新しい3D元年を迎えることにしたい。

まだ3D映像を本格的に体感していないうちから心配している。この小心者と自分をしかっている。(L