「科学技術オタク」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「科学技術オタク」

すしや刺し身になるクロマグロ(本マグロ)は将来食べられなくなるのだろうか。ワシントン条約締約国会議で「大西洋産クロマグロの輸出入が禁止」が提案されるという。なにか、だんだん住みにくくなりそうでつらい。

 

困った時には専門家の話にすがってみよう。元ワシントン条約事務局長の金子与止男さんは新聞で海洋生物の規制問題に次のようなコメントを残している。「陸上の動植物で主なものはほぼ規制され、海に目が向き始めた。海洋生物を、漁業問題ではなく環境問題として捉える傾向がでてきた。既存の漁業管理機関による資源保護策が不十分なことへのいらだちも、背景にあるだろう」。大変冷静なコメントで、状況が理解できてくる。

トヨタ・プリウスの急加速問題が沈静化していない現在、トヨタの公開実験に加わった米スタンフォード大のゲルデス准教授は「誤った情報に基づいて政策が決定されたり(消費者の)恐怖心があおられたりするのは問題だ」と述べている。納得できる発言だ。

 

冷静な判断と科学的な解析、調査に基づいた情報が提供され、その情報が適切に利用されることが結局は消費者、社会の心配を解決し、安心できる社会を作ることになる。持続的な社会を目指している環境というテーマ、環境負荷の計算でも基本は同じだと思う。

 

私は科学、理論、技術、システムなどの言葉に一種の憧れを持っている人間のようだ。その証拠に、科学の発展、技術の発展が社会を進歩させる推進力になると信じてきた。自分でインパクトある科学技術進歩を生み出せなかったので、今ではそのような人を何とか応援したいと考えている。だからLCAに熱心なのだ。

 

科学少年“まがい”だった私が今ウキウキと期待している実験が5月にある。

宇宙航空研究開発機構は、燃料を燃やす代わりに太陽が放つ光の粒子の力を帆に受けて飛行する帆船型省エネ衛星の実験機を金星の方向に打ち上げる。一辺が14メートル以上ある凧のように宇宙で薄い帆を展開する。帆には膜のように薄い太陽電池を貼り付けて自家発電も試みる。積み込む燃料が少なく軽い。帆全体で太陽光の粒子を受け、その力で加速や方向転換を試す。光粒子サーフィンのイメージだろうか。太陽の光を受けると、0.5グラムほどの重りをぶら下げたのと同じ圧力を得られるということだ。宇宙機構は、将来、帆を大きくして木星を目指す探査機に応用したいのだとか。帆船型衛星が太陽から77830kmはなれた木星に着くのはどのくらいの時間がかかるのだろうか。

 

なつかしアニメの世界が宇宙空間で上演される。困ることや悩みは多いが、たまには楽しいことを考えて気分転換。(A