「前とはどこなのか」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「前とはどこなのか」

 通勤電車では駅が来るたびに大量の人が降りて、そして乗り込む。足の踏ん張りだけでは急発進などでよろける可能性がある。体をよじりながら、取っ手や吊革のある場所に辿り着く。視線が何気なく掴むものを探している。

 

 電車内の乗客のイヤホーンから漏れる音が聞こえれば音が来た方角に顔を向けてしまう。シャツから出る臭いを感知すれば、発生源は誰かと乗客の身なりを観察する。

 

 顔に備わる目、耳、鼻での情報を元に、どのように動くべきかを決めている。顔を持っていない生物はどうしているのだろうか。人間には備わっていない特殊センサーからの情報を総合判断して動いているのだろうと思っている……けれど……本当だろうか?そんなに複雑な判断機能を持っているのだろうか?……例えばウニやヒトデだ。どちらが“前”かもわからない。

 

 北海道大学でクモヒトデの動きを解明した。クモヒトデというのはクモのような動き方をするヒトデに似た海洋生物である。体は丸い盤と細長い腕からなる。細い腕を動かして移動する。

 

 面白いのは、単純なルールの下で刺激を避けて移動しているらしいのだ。つまようじで一本の腕に刺激を与えると、刺激を受けた腕から2本離れた腕の方向を“前”と決めて逃げる傾向があるらしい。危険に直面したら逃げ方を決めるルールが神経系に備わっている。

 

 足元には、判断に困る難問が多い。こんな時はクモヒトデが生命を何万年も維持してきた単純なルールでとりあえず危険回避するのも一つの手だと思う。

 

 LCA(ライフサイクルアセスメント)を実施する時、自社内の工程データやサプライヤーのデータ、素材データ、エネルギーデータを集めないといけないと恐れている人が多いのではないでしょうか。まずLCAで行う思い立ったら時間経過に従って、ライフ(一生)を構成する段階をリストアップすることから始めます。単純なルールです。そして次に各段階を整理します。単純なルールの繰り返しです。

 

 前に進みたいと思います。前を向く単純なルールを身に着けたいと思います。(A)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    「刺激を受けた腕から2本離れた腕の方向を“前”と決めて逃げる」とは不思議ですね。この習性がDNAとして引き継がれているのですね。

    「足元には、判断に困る難問が多い」本当ですね。同感です。単純なルールを活用すれば、次の手がかりが見つかるかもしれませんね。

    世の中で成功している事例は、意外と単純なルールの積み重ねで導かれているのかもしれませんね。

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