「蒸気」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「蒸気」

 電車のドアの上のディスプレー画面に衣類スチーマーという商品が宣伝されている。シューっと大量のスチームが底面から噴き出し、ハンガーにかけたまま衣類のシワをのばしてくれる。“大量のスチーム”がキーワードらしい。白い蒸気は心も潤おう。

 

 夕食用にシュウマイを買ってきた。妻が外出なので、一人で夕食を済ませなくてはならない。我が家に蒸し器というものがないので、鍋で蒸気を発生させてうまくシュウマイを温める工夫をすればいいと思った。

 

 いろいろなアイデアを練った挙句、湯の中に小鉢を伏せて置き、その糸底の上に深めの皿にシュウマイを入れて蒸してみた。蒸気が出てくるにつれ、シュウマイを入れた皿が微妙に動くので、きわどいバランスを保たなければならない。

 

 結局、時間をかけてシュウマイを温めることは諦め、生暖かい状態で食べてしまった。こんなことなら電子レンジを最初から使えばよかったのだ。何ともアイデア倒れで、自分の中途半端な考え方を悔やんだ。そして「十分な蒸気で時間をかけて蒸さなくては、おいしい総菜はできないのだ」と改めて肝に銘じた。

 

 「十分量」確保ということが何事にも大切なのかもしれない。十分なスチーム。……十分な泡……床屋の髭剃りでも十分かつ大量の泡でもみあげ付近や顎を覆うので、気持ちが良いし、剃った箇所もはっきりわかり理容師さんも段取りよくサービスできるのだ。

 

 LCAの解析では現場感覚を忘れないように、製造現場やプラントを見学させていただく。部品を製造工程脇に端材の山ができていたり、化学反応塔から出るパイプからスチームが逃げている光景などはよく見かける。これもよい品質の製品を作るために、材料や蒸気を十分に使うという“哲学”に基づいているのだと想像する。

 

 だから、LCAの評価では製品の品質確保の工夫や、廃棄物や廃棄される物質まで十分に目を配ることが鉄則だ。余剰の物質も無駄なく利用されていることを確認する。

 

 ケチるとロクなことはない。…わたくしは小型のレトロタイプの蒸し器を買った。(L)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    「メリハリが必要」あるいは「物による」のかもしれませんね。確かに「ケチるとロクなことはない」十分な量が必要なものも数多くありそうですね。

    一方で、省エネ・環境負荷低減の観点では、丁度いい量に収めないといけないものもありますね。

    そういう意味では、LCAが有効なツールとなりそうですね。必要十分な量、LCA解析によって最適な量を見極めることが求められますね。

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