「一生に一度モノ」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「一生に一度モノ」

 クリスマスのモミの木のいい香りがする。訪問した会社の受付に飾られた本物のモミの木だ。森の中に入ったような、青葉の香が何ともさわやかだ。

 

 輸入品は国産よりも割高だが、枝ぶりがよく形が整っている。新聞報道によれば、花卉市場では1.5メートルから2メートルのサイズの卸値が1万5千円前後で、前年より1割ほど高くなっているという。モミの木は1メートル以上の出荷サイズに成長するまで10~12年ほどかかる。つまり、今年出荷されたモミの木はリーマン・ショックの頃植えられた苗で、リーマン・ショックの直後当時の景況感から10年後に売れるかどうかわからず、生産者は植える数を減らした。これがモミの木の値上がりの原因だという。

 

 わずかな期間であるがアメリカにすんだことがある。一生に一度の経験として2メートルほどのモミの木を買って部屋に飾ってみた。家の中はもみの木の香りが満ち溢れ、木を据えるだけでこれほどの満足が味わえることが不思議であった。木の香りには精神的に落ち着く物質が入っているに違いない。リアル・モミの木ほど“一生に一度モノ”が記憶に焼き付いているものはない。

 

「4年に一度ではない。一生に一度だ」というコピーはラグビーW杯で使われた。一生に一度だと私も思った。そんな風潮に引きずられてテレビ画面を見ながら自然と腕と足に力が入っていることに気付き、慌ててリラックス姿勢に戻した。9月から11月まで力が入ったな。多分これは最近経験した“一生に一度モノ”だ。

 

 2020年はオリンピック大会、パラリンピック大会が開催される。大会自体も“一生に一度モノ”であるかもしれないが、どうも世間では色々な意見があって、盛り上がりに欠ける。“一生に一度モノ”となる選手の活躍やレースがあるだろうか。

 

 マラソンや競歩の開催場所は札幌に移る。東京大会として温かく大会準備を見守ってきた東京のスポーツファンの期待を裏切った。IOCは開催地の人々の感情は考慮に入れないようだ。スポーツ大会であり、スポーツの“祭典”ではない……と言っている。

 

 東京のマラソンファンは“一生に一度モノ”を失った。(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    日本のクリスマスも時代とともに変化しているようですが、アメリカのクリスマスは日本とは一味違うのでしょうね。

    私のクリスマスの思い出は、もう50年以上前となりますが、父親が靴下の形をした入れ物にちょっとしたお菓子の詰め物が入ったプレゼントをもらった思い出でしょうか。今の時代と比べると、各段に安いプレゼントですが、良き思い出として残っています。

    「4年に一度ではない。一生に一度だ」というコピーに私も「はぁっ!」とさせられました。実際に「一生に一度」でないイベントであっても「一生に一度」のつもりの心構えで臨んでいくべきだと思い直しました。

コメントをどうぞ