「カミキリムシ」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「カミキリムシ」

 この虫のおかげで、町内の桜はどんどん枝を落とされている。5年ほど前見事に満開になった桜だったが、4センチほどのカミキリムシのために、みじめな姿になってしまった。

 

 クビアカツヤカミキリというカミキリムシは中国、モンゴル、朝鮮半島、台湾、ベトナムなどに分布していたが、2012年ごろから日本に侵入し、勢力を拡大してサクラを枯れさせている。卵や幼虫が入った材が物資の梱包用に使われ、中国や韓国あたりから国内に持ち込まれた可能性が高いという。

 

 ソメイヨシノという典型的なお花見桜がこのカミキリムシの好物らしい。駅前のソメイヨシノの老木は突然切り倒された。その代わりに小振りのヤマザクラが植えられた。吉野の山のヤマザクラの評判も聞いていたので、きれいに咲くだろうと2年も待ったが、貧弱な花をところどころ咲かせるだけで、一向に春が来た気配を感じない。ヤマザクラは吉野に限るのだろうか。この若木を選定した造園業者には申し訳ないけれど、この桜、以前のソメイヨシノに比べ美しくない。

 

 がんが拡大し、死に至るのと同じように、カミキリムシの幼虫が樹木の辺材や心材の内部で2~3年過ごし、幹の中をトンネルだらけにしてサクラを弱らせる。繁殖力が強く、一匹のメスが10~300個の卵を産むという。成虫は頑丈な体をしている。つかむとキーキーと悲鳴を上げる。逃がしてくれと必死に頼んでいるような音に惑わされてはいけない。その場で処分すべし。

 

 東京オリンピック、パラリンピックの聖火リレートーチが発表された。サクラの花がモチーフになっている。色も桜ゴールド、桜ピンクと名付けられていることから察しても、日本人は桜を好む民族のようだ。満開の桜と青空は景色遺産(このような言葉はないと思いますが…) と言ってもいいくらいかもしれない。米国のワシントンDCのポトマック河畔の桜は手入れが行き届いて大変美しい。クビアカツヤカミキリムシの侵入を許したドイツやイタリアは、駆除キャンペーンが成功し、根絶させたという。日本でも桜を守ることに精を出さないと、花の文化が壊れていくかもしれない。

 

 霞のかかる青空を背景に満開の桜。この定番の日本の景色が維持されますように。(L)

 

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    私の地方では、今年は桜の開花は全国でも早い方でしたが、その後、寒気の流入により長持ちしましたので、長く楽しむことができました。葉がだいぶ混じってきましたが、未だ花びらが残っています。

    外来生物による被害は桜に限らず深刻な問題ですね。日本を代表する大切な桜が日本から消えないことを願っています。いつまでも果敢ない美しさを誇って欲しいと思います。

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