「フリーハンドの線」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「フリーハンドの線」

 「クマのプーさん展」に行ってきた。この有名な物語を読んだことはないけれど、クマのプーさんは知っている。挿絵担当E.H.シェパードの鉛筆素描が展示されているのだ。

 

 展覧会「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」にも行ってきた。髑髏にトカゲが配された気味悪い絵でご存知の方もいるかもしれない。大変な腕前を持っているけれど、単純な狩野派の絵師ではない。発想が柔軟すぎるほどの変わった絵師なのだ。

 

 実は、フリーハンドで描く線が好きだ。LCA作業サイズを推測する時、ライフサイクル全体のプロセスを連結したライフサイクルシステムを見ることにしている。このプロセスを連結した図をフリーハンドで描くことが頭の整理になる。複雑なプロセス群を作業解析作業の目的、IN/OUT データや環境負荷レベルを考慮して単純化したり、一つのプロセスの中に入れ子として入っている2次プロセスを1次プロセスに格上げしたりしてアセスメントの構想を練る。LCA作業を始める準備作業だ。柔軟な発想と異なる視点で……。

 

 クマのプーさん展では、E.H.シェパードは画面のポイントとなる川辺や森の中に、子供と主役となるクマのプーさんやその仲間たちを丁寧に書いていくことを知った。足の位置や首の傾け方など何回も修正が加えられていた。

 

 河鍋暁斎は迷いのない筆さばきが売りかもしれない。この画家は才能に恵まれ、そして努力家である。驚くばかりの大量の古画を模写しては技術を身に着け、日々絵日記もつけていたようだ。

 

 展覧会をみても、二人の神髄をすぐに汲み取ることはできず。これをこうしたいという結論もないが、フリーハンドの線で表現している意味など……考えると面白い。

 

 画家の心は柔軟で、目に見えていないことまで描き込まれているのが印象的だ。クマのぬいぐるみが子供の遊び相手として野原を歩いている。美人が立ち止まり、足元を見降ろしている。足元でカエルが相撲を取っていて、土俵周りのカエルも応援中だ。

 

 “その人”が見つめると“そこ”に何かインスピレーションがわくらしい。(L)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    「フリーハンドの線」と言えば書道もそれに当たると思います。機械で描かれた線、幾何学的ものの中にフリーハンドで描かれた書道の文字が組み合わさったりすると魅力が増しますよね。

    最近は文書を作成する際にもパソコンを使用しますので、めっきり自分の手で書くのがほとんどとなりました。このため漢字の書き方を忘れることも多く、さびしく思うこともあります。機会を見つけて、できるだけ手書き「フリーハンド」を実践していきたいと思います。

コメントをどうぞ