Sphera Solutions, Japan株式会社

　6月の中旬までウグイスがさえずり続けていた。大変上手に鳴くので、「何かいい事でも起きないだろうか」と思いながら道路を掃除していた。

　強い日差しのおかげで、両腕は「ゴルフやけですか」と聞かれるほど日に焼けている。ゴルフを楽しむ腕も余裕もないけれど、猛暑の中、ゴルフよりもウグイスの声を聴きながら家の周りを掃除することの方が私の間尺に合っている。

　蝉が鳴き出して、ウグイスは鳴かなくなってしまった。

　7月、我が家の笹やぶの端に、何やら産毛のようなモコモコしたものが転がっていた。お椀を伏せたようになっている。恐る恐る返してみると細い葉や糸で作られた半球形のカップが現れた。これは間違いなく鳥の巣で、6月までこの近辺で鳴いていたウグイスが作ったのではないだろうか。ここで子供を育てて、一段落したので別の場所に移動したのかもしれない。よく鳥の生態を知らないのだけれど、勝手に想像している。

　ストーリーを勝手に想像するのは気分転換の一つと思っている。先ず、小耳にはさんだ知識の断片で想像ストーリーの骨格を作り、深呼吸でもすれば、頭の中では消しゴムできれいになった白い紙が再び現れる。そして、新しい絵をかいてみる。

　LCA(ライフサイクルアセスメント)では対象物や事象のライフサイクルを考えるので、LCA構想を練る時には想像力も大いに役に立つ。しかし、LCAの“アセスメント”作業自体では解析対象の事実を把握し、実際のデータを使用するので、むしろ想像力で事実を歪めて理解しないように肝に銘じている。

　暑い夏はウグイスも涼しいところに移動したのだろうか。それともこのあたりにとどまっているのだろうか。ひなは成長できたのだろうか。都会ではネコに襲われないように注意が必要だ…よ。……来年戻ってきてくれるだろうか。

　ウグイスの子育ての場となる笹やぶは来年も残しておくから。