「縮減」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「縮減」

 余分なものを削ぎ落とし、ポイントとなる機能要素だけをだけを残してシステムをシンプルにした上で全体を把握する。私の好みの整理術であり、次のステップへの踏み台として利用するには便利な考え方だ。

 

 日本文化全般にわたり、何でも並べるよりも周りから無駄を排し、選び抜いた逸品を際立たせることに長けていると言われる。舞台、絵画、食事等々、言われてみればそうかもしれないと思う。日本の文化は物事を“縮減”することに価値を持つ文化なのだ。

 

 私好みの“縮減”の考え方を新薬開発の領域で活用する研究を知った。

 

 京都大学で心臓や肝臓の生きた細胞を回路のように並べたチップを開発したのだ。チップの大きさは切符大。6カ所のカプセルが細い管でつながり、各カプセルが臓器の小さな培養室に当る。血液に似た液体が回路の中を巡り、人の体内そっくりにミニ臓器がつながる。

 

 人のiPS細胞からの様々な臓器の細胞が再現できれば模擬体内の反応を観察できる。生身で試せなかった実験を行えるし、体内で起きるであろう反応を顕微鏡で観察できる。新薬開発で動物実験の代わりにこのチップが研究実験に使われるようになれば、手軽に分析精度を上げられるのではないか。

 

 今回の研究で使われるチップ本体は何でできているのかは知らないが、ガラスの表面にくぼみや溝を掘って超微量の試薬の効能を検査するという実験方法を聞いたことがある。今回は、基板の上にミニ臓器を連結させ、いわば人体のICチップを作るというアイデアだ。有効な結果が出て新薬開発につながること、また、新薬開発への投資額が減らせることなど実用化への道が開けることを期待している。

 

 いま多くの情報は掌に収まるスマホで処理されているような気がする。新薬開発も切符大のチップの上で新薬の安全性に関するスクリーニングができたら、これも新しい日本文化にならないだろうか。

 

 “縮減”によって効率化がはかられる分野はまだまだありそうだ。(L)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    片付かない自分の部屋を見るにつけ「無駄を省いてシンプルしたい」と常々思うのですが、遅々として進みません。
    正に「“縮減”によって効率化がはかられる分野」だと思います。

    モノを捨てられなくて困っています。捨てる決断ができないモノについては、しばらく保管しておいて時間が経って判断することにしています。「あれから1年経過したが全く必要なかった」などと判断しています。中々即決できません。

    何とか、「無駄を省いてシンプルにする」’縮減‘を実行して一歩一歩整理していきたいと思います。

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