「オートファジー」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「オートファジー」

 自動車樹脂部品のリサイクルに興味を持ってから20年ほどたつだろうか。多種多様な樹脂が開発され今や自動車にとって、軽量化だけでなく、高性能化、快適性、安全性などを考えると樹脂を使わないクルマを考えることができないだろう。

 

 最近では、古くなった樹脂部品はエネルギー源への転用というリサイクルが幅をきかせている。しかしマテリアルリサイクル技術が発達し、リサイクル樹脂の品質が保証されればマテリアルリサイクルもまんざら間尺に合わないわけではない。

 

 10月3日、“東京工業大学大隅栄誉教授が「“オートファジーの仕組みを解明した”としてノーベル賞を受賞」というニュースが流れた。オートファジーというのは「細胞が内部の不要なたんぱく質を一旦分解し、再び必要なたんぱく質を作り出すリサイクルの仕組み」だ。植物から哺乳類まで多くの生物が持っているのだという。細胞内の根源的な生命現象を解き明かしたと紹介している新聞もあった。

 

 細胞の中では実に巧妙にたんぱく質のマテリアルリサイクルがなされているように見える。

 

 いま人類はサステーナブル(持続可能)な社会実現をめざしてエネルギーや資源を効率よく使うことを目指している。このままエネルギーや物質を消費し続けると人類の繁栄の限界が見え隠れするからだ。サステーナブルな社会形成に向けてLCA(ライフサイクルアセスメント)というツールを使ってエネルギーや物質の収支を冷静な目で見て行く。世界企業の活動の根幹となっている考え方だ。

 

 「成人は毎日、約200グラムのたんぱく質を作るが、食べ物から摂取するのは70グラム程度である。不足分のたんぱく質は、細胞自ら分解(オートファジー)してできた原料で補っている」という。まさにこの説明こそLCA解析の結論部分にそっくりだ。生物は物質収支を身体全体でとっている。細胞内のゴミをオートファジーで取り除けば、健全な細胞であり続けられる。

 

 人間社会も、細胞も、生きながらえるために同じようにリサイクルを続けている。(L)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    「このままエネルギーや物質を消費し続けると人類の繁栄の限界が見え隠れするからだ。」確かに心配ですね。このまま浪費していくと限界が来てしまうのは間違いないですよね。リサイクルの重要性を改めて考えさせられます。

    人間の細胞でもリサイクルが活用されていたのですね。リサイクルされた細胞を使って人間が地球のリサイクルを真剣に考え、実行していかなければならない時期が既に来ていますね。

コメントをどうぞ