「資源偏重」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「資源偏重」

 今、世界中で電気自動車(EV)が脱炭素社会の目玉として注目を集めている。風力発電も自然エネルギーとして期待されている。EV や風力発電に使われる強力なモーター用磁石にはネオジムなどのレアアース(希土類)が使われる。

 

 レアアース鉱石の世界生産シェアは中国が58%、米国が16%、ミャンマーが13%、オーストラリアが7%、上位4カ国で94%を占めている(日経2021年3月2日記事)。この資源の偏在がこれからの国家間の力のバランスに影響を与えるに違いない。

 

 磁石の耐熱性を高めるためには重希土類のテルビウムやジスプロシウムの添加が必要だ。その重希土類は中国以外に埋蔵量は少なく、脱炭素は中国依存の呪縛から逃れられない。

 

 “レアアースの供給リスクが来るかもしれない。重希土類の供給リスクも来るかもしれない。”このような状況を理解すれば、脱炭素に向けて希土類資源、重希土類資源を大切に使わなくてはならない。資源リサイクルも必要だ。

 

 “半導体の供給リスクが広がっている。”米国テキサス州での大規模停電の影響でサムスンの工場が停止、加えてテキサス大寒波の影響で、スマホ向け半導体の供給に不安が発生した。国内では昨年の旭化成の半導体工場火災、更に、半導体大手ルネサスエレクトロニクスの那珂工場で3月に火災が発生し、自動車業界への主要半導体の供給が不安になってきている。

 

 情報社会の欠点でもあるが、一つの最適解に多くの人々、企業が集中してしまう傾向にある。資材はますます供給リスクを抱き込むことになる。資材が手に入らないという緊急事態に向けての対応策を常日頃考えておかなくてはならない。リスク管理だ。

 

 資源確保に使用する技術、例えば、鉱石から材料資源の効率の良い精錬方法、リサイクル技術、リサイクルに向けた使用済み品の回収システムなどLCAで検証しておく工程はいろいろある。これらもリスク管理の中に入るかもしれない。

 

 レアアース磁石の緊急時対応はリサイクルと、モノ(資源)を大切にする気持ち。(L)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    自動車の販売に回復の兆し出て来たところに、半導体の供給不足が冷や水を浴びせることになりましたね。冷や水というよりも長期的な根本的な課題になるかもしれませんね。

    たいへん難しいリスク管理が求められますね。カンバン方式は優秀な生産方式ですが、余力をどこまで確保しておくか、難しい課題ですね。短期・長期、各方面を睨んだリスク管理が求められますね。

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