「重い電子」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「重い電子」

遅まきながら、我が家でもLED電球を初めて使ってみた。とりあえず、何の違和感もなく、快適である。これで10年間この電球を交換しなくてもいいのだと安心している。経済産業省が作った「エネルギー基本計画素案」では「発光ダイオード(LED)や有機ELなどの高効率照明を30年までに全世帯に取り付ける」となっている。少しばかり貢献。

 

時代とともに技術が発達し、世の中に埋もれていく技術もある。白熱電球の製造をやめたメーカーもある。フロッピーディスクもいよいよ製造を中止するということだ。便利さを追求する生活は知らず知らずのうちに古い道具を駆逐していく。

 

LED電球の例でも分かるが、そもそもダイオードの発光原理を見つけ実現したところから全てはスタートしている。それに続く新開発、新コンセプト、新製造技術が大きな成果を生み出してきた。全てのステップで努力された人々は偉い。特に、最初に種をまいた研究者に感謝している。

 

4月の日経新聞によると「重い電子」の研究が日本で続けられているという。何気なく記事を読んだが、そこには夢がつまっていた。電子自身の質量が変わるわけはないが、周りの影響をうけて電子の速度が遅くなり、重くなったように見えることを物理学では「重い電子」というのだそうだ。重い電子をうまく応用すれば、超電導分野では室内超電導も夢ではなく、研究が進めば、超電導リニアカーは冷却不要でより軽く速く移動できる。磁気共鳴装置(MRI)では冷却機と冷媒が不要になり、将来は街中の診療所や学校の保険室にも設置できるかもしれないという。さらに、電子のありなしで制御していたコンピューターは電子の重さの大小でも制御できるので、大幅な性能向上が期待できるという。「家庭のパソコンがスーパーコンピュータ並みの性能を持つ」かもしれないのだとか。省エネ技術の種がまかれた。

 

「重い電子」の応用なんて本当だろうかとも思う。しかし、最近、地球温暖化防止の計画も数字の帳尻あわせのような政策やコメントが多いという印象が強かったので、久し振りに、ワクワク感をいだいたニュースだった。一方で、地味な物理学の社会に与えるインパクトにも驚いている。実現するのはまだまだ先の話だと思うが・・・・

 

理科離れなどといわれる。日本発の技術が期待されている。独創的な芽がすくすくと育っていきますように。(A