1996年自主規制の緩和で500ミリリットル以下の小型サイズのペットボトルが解禁となった。ペットボトルは爆発的に使用されるようになった。一度飲むだけなのに、合成樹脂PETを使い捨てにすることはいかがなものかとの意見もあったが、その便利さはただものではなかった。そのサイズも190ミリリットルから4リットルサイズまで多種多様である。今ではガラス瓶自体が貴重品のような感じだ。
そして今、2リットルのミネラルウォーターボトル市場でボトルの軽量化が進んでいる。サントリー食品では36グラムの製品を売り出すという。キリンビバレッジが2003年に63グラムから42グラムにしたのが軽量ボトルの先駆けである。従来、殺菌のため「高温の飲料をペットボトルにつめていたため、ボトルに耐熱性が求められ、薄くするのに限界があった。キリンビバレッジは「無菌充てんシステム」を製造ラインに導入し、常温でペットボトルに飲料を詰められるようにしたのだという。その後大手飲料メーカーは同様の充填システムを導入し、軽量化が進んだ。
ボトルの薄肉化、軽量化のためには、そもそも飲料の殺菌方法、充填方法の改良が先行している。また薄く軽くした際にはボトルの強度のチェック、またそのボトル製造技術でも苦心があったに違いない。
PETボトルの軽量化を進めれば原料のPET使用量は減ることは容易に想像でき、その結果、原料コスト削減も想像できる。しかしその背後に工程改良があって実現したのだ。
環境に配慮するということは、技術開発そのものである。原料の製造工程、製品製造工程、使用、廃棄・リサイクルまでみて判断することの重要性があらためて認識される。それがLCA(ライフサイクルアセスメント)の真髄である。
米国ではトヨタのリコールを巡って騒がしい。トヨタだけでなく、日本企業の技術力に漠然とした疑念が起きないことを願っている。日本企業での品質/製造/環境技術はそんなにヤワではないと信じているので。(A)