「シグナリング」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「シグナリング」

「情報の経済学」という日経新聞のコラム欄でシグナリングの大切さをしった。シグナリングとは費用のかかる行動を通して、相手に情報を伝えることだ。就活でも雇用側が望んでいるならば学歴、特殊技能、社会性などに費用を払ってでもそれらを身につけてアッピールする。もし雇用側の基準が違っていれば、費用の便益はなく、全体的なバランスを考え、無駄な投資を避けた方がよい。

 

2008年福田前総理が「低炭素社会・日本」を目指して、行動計画において消費者への「見える化」としてカーボンフットプリントの制度化の推進・普及を表明した。

カーボンフットプリントとは商品のライフサイクル全般(原材料の調達から廃棄・リサイクルまで)排出された温室効果ガスをCO2で表すものである。基本はライフサイクルアセスメント(LCA)手法を利用して商品にCO2排出量をラベルで表示する。

 

もともと、消費者が的確な選択を行うための情報を提供することを主たる目標にしているため、日用品などの非耐久消費財からスタートしている。消費者の購買行動でどこまで低炭素社会意識が昇華されているか、多少疑問はある。「こちらのコンビニのおむすびはCO2 が少ないから買った」というような話はあまり聞かない。しかし、日用品や非耐久消費財を作る企業や販売・サービスを提供している企業にしてみれば、環境に対する取り組みをアピールできる手ごろな情報発信の場である。シグナリングである。

 

カーボンフットプリントは、商品別算定基準を揃えて、CO2排出量を計算する簡便な方法であるが、商品別の枠組みに限定される。更なる環境配慮で攻めの経営を行う企業にはLCAをお勧めしたい。環境配慮、低炭素社会に向けた活動が企業の利益に結び付けるために、ライフサイクルのどこに力を注ぐべきかを解析できるからである。LCAでは、資源の投入量や一次エネルギー投入量などを把握でき、またリサイクルの効果やバイオ燃料の利用効果など現実のプロセスが明らかになる。全貌が見えてくる。

企業活動は一つの状況にとどまらない。いつも前進、改良の連続であることを考えると、LCAで製品やサービスを評価する風土を企業に根付かせることが大切だと思う。真のシグナリングとなるはずだ。

 

LCACO2を計算するための単なる道具ではなく、企業活動で、環境対応や低炭素社会実現という枠組みにおいて、他社に差をつけることを支援する解析手法である。LCAの専門家として攻めの経営や技術開発を目指す企業のお役に立ちたいと考えている。(C