「レッドリスト記載」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「レッドリスト記載」

今年は、ウナギが国際自然保護連合で絶滅危惧種としてレッドリストに載せられた。“ニホンウナギ絶滅危機”に類する話はここ数年、夏になるとマスコミでも報道され続けられている。ウナギは手の届かない食材になりつつある。

今夏は国際自然保護連合 (IUCN) からウナギの専門家を交えてうなぎ保護シンポジウムなどが開かれた。「ウナギの減少は、乱獲のほか、河川環境の悪化やダムなどの河川構造物の設置などが理由として考えられる」。そして「日本で漁業者や研究者、自然保護団体などが同じテーブルにつき、問題解決の方向を探る動きがあることは重要だ」と話したという。

大変真っ当な意見だとは思うけれど、ウナギ好きの私にしてみると多少腹立たしい。生物的な絶滅への危機感をあおる学者や保護団体と、ウナギを夏の暑気払い・食文化ととらえる私との間にある微妙な価値のギャップがあるからだ。個人的感想だけれど、西洋料理でのウナギに比べ、蒲焼など日本のウナギ料理は抜群においしい。ウナギを焼くにおいもまた格別なのでギャップがますます増幅するのだ。

ウナギ完全養殖は大変に難しいらしく、明るい話題はほとんどない。今年になって「河川などの自然の状態を復元することがウナギ絶滅危惧の状況打開への一番の近道だ」というキャンペーンも展開されている。これも前から言われていることの繰り返しのように思える。残念ながら、この分野でも大きな成果は報道されていない。

日本の生態系の学者、漁業研究者、ウナギ養殖研究者、ウナギ漁業者、ウナギ流通業界、官庁などの熱心な対応に敬意は表するものの、力の限界なのかもしれない。

力の限界が見えたのだから、そろそろウナギ復活論に期待するのをやめようかとも思う。個人的にはウナギという食材名詞の使用を封印しようかと思う。

魚の完全養殖研究に LCA 手法を使って養殖工程を改良していくなどという夢を抱いていた。でも、完全養殖もままならないウナギの現状では、とりあえず、ウナギ生育に LCA を適用するのはペンディングとしよう。( C

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    そうなんですね。久しく食べていないウナギを思いっきり食べたいのですが、そうも行かなさそうですね。残念です。

    河川を自然状態に戻すことはたいへん難しいことですよね。実現できれば、ウナギの件だけでなく自然環境にプラスなことがあると思いますので、たいへん良いことなのかもしれませんが、治水の面もあり、中々そうもいかないと思います。
    本当に難しい問題ですね。

    ウナギの減少に地球温暖化による気象変動も係わっているのでしょうか。やはり地道に地球温暖化対策を進めて行かなければなりませんね。その点でLCA手法に期待しています。

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