「ビジネス街の森」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「ビジネス街の森」

 電車の中のスクリーンが「植木を室内に置きましょう」と言っている。冬場の乾燥した空気に葉から出る水分が室内に適度の湿り気をあたえることができる。だから、植物によっては加湿器の役目もできると言っているのだろうと……思う。

 

 確かに植物は光合成で水と二酸化炭素から糖を作る。その過程で水を分解して大気中に酸素を出している。一方、植物は我々と同じように呼吸をしてもいる。つまり空気中の酸素を取り入れて二酸化炭素を排出している。大気は生物を経由して循環しているのだ。

 

 植物が光合成と呼吸で循環してくれる空気は確かに新鮮に感じる。空気中のゴミまで濾してくれるような気分になる。

 

 先日、地下鉄出口を間違え、「大手町の森」という都市の緑化地域を歩く経験をした。ビジネス街にある「本物の森」だとPRしているあの森だ。完成してから5年ほどたっているので、すっかり、景観に溶け込んでおり、確かに、樹間を流れる空気もさわやかだ。

 

 この森を手掛けたチームはまず千葉県の君津市の山林1300平方メートルのスペースに「プレフォレスト」と称して土の起伏や土壌の成分、樹木の密度や樹種などを計画地と同じように作り、約3年かけて管理方法などを研究したという。そして、植えた樹木と土壌をそっくりと大手町に運び、森を再現したのだ。

 

 利用する人が気持ちの良い森とは何か?自然な森から学んだことは哲学的ですらある。「複雑な起伏の中で木が密集したりまばらだったりすること。つまり“疎密”。幹の太さや木の高さなどさまざまな樹齢の木があり常に入れ替わっていること。つまり“異齢”。常緑樹・落葉樹・地被類など多様な種類が混ざっていること。つまり“混交”。」この3要素を有していることだとまとめられた。

 

 静かな山の中にいるような景色。歩いている人の姿勢が違う。ビル建設現場の掘り返された土地に本物の森が再現されている。この森はもっと広かったらいいのにと思う。

 

 いつも、本物を見たい、本物を体験したい。本物を作りたい。本物を感じたい。(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    「大手町の森」の存在は知りませんでした。大都会の真ん中に「森」が存在するなんて、とても素敵なことですね。

    このブログを拝見してネットで見てみました。ビルとビルの間の歩道の傍らに直線的に広がっているのですね。

    都会の緑化が進めば、乾燥、大気汚染、地球温暖化などへも貢献しそうですね。ビジネスマンの目を休める効果もあるかもしれません。これからの都市計画には欠かせないことですね。

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