「もちゃつかい」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「もちゃつかい」

 引っ越し準備で義理の弟の家に大きなちゃぶ台が届いた。とてつもなく大きな足の短い円形テーブルだ。居間のセンターに置かれていて大変便利に使われてきた、愛着のある机らしい。“こんなに大きい台は‘もちゃつかい’だね。”といったところ、妻はきょとんとした顔をしている。全然意味が通じていないのだ。

 

 オモチャがどうしたの?

 

 今になって、言葉が通じないカルチャーショックに直面することになってしまった。「え!これ標準的に使っている表現ではないの?」という驚きで汗が噴き出す。

 

 どうもこの言葉は上州の方言らしい。子供の頃家に来られたお客様は上州の方が多かった。私はこの表現を何気なく便利に、相づちみたいな感覚で使ってきた。「持て余す」「処置するのはメンドウそうだ」というニュアンスで使えばいいのだと勝手に思い込んでいる。……いただき物など、はっきり言えば「邪魔もの」なのだけれど、くださった方の顔を思い浮かべると処分できない状況で「どうしたものか」と板挟みに悩む心の表現……かな。

 

 夏とはこんなに暑かっただろうか。小学校時代の夏休み絵日記などを思い浮かべている。確か東京でも夏休み中に3~4回程度30度を超す日があって、そんな日に今日は暑かったと日記に書いた。蝉採りにも行けないような蒸し暑い日が続くと‘もちゃつかい’だった。

 

 電車の中で赤ん坊の機嫌が悪い。お母さんは優しく話しかけたり、軽く指でリズムを取ったり赤ん坊の機嫌を直そうと一生懸命だ。電車の中では泣き叫ぶ赤ん坊は‘もちゃつかい’だ。お母さんはぐずる子供とともにホームに降りて気分をリフレッシュする。

 

 インドネシアなどの熱帯林では、マングローブなどの熱帯の樹木が枯れたり朽ちたりして浅瀬の海辺に堆積。そして浅瀬の海に「泥炭湿地」が広がる。近年、開発に伴う土壌の乾燥で火災が頻発しているため、二酸化炭素(CO2) が大量に放出され、地球温暖化の脅威になっているという。インドネシアにとっては‘もちゃつかい’だ。

 

 分っているけれど…現実とのギャップから生まれる‘もちゃつかい’という方言。(L)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    今回のタイトルを見て「何のことだろう」と思いました。‘もちゃつかい’という言葉に初めて接しました。(全く聞いたことのない言葉でしたので関心は高まりました)

    私もうん十年前、上京した際に「片付ける」という意味で「なおす」と発したところ、「故障したの?」と言われて不思議な感覚になりました。私の田舎では、普通に使われていて、標準語だろうと思っていたので驚きでした。

    それにしても暑い日が続いていますね。子供の頃は30℃を超えるととても暑い感覚でしたが、今では、35℃を下回ると、少し安心する感覚になっており、状況が大きく変わったと認識させられます。それでいて冬は異常に寒い時もあり、たいへんな時代になりましたね。

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