「鉢植えの松」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「鉢植えの松」

 鉢植え盆栽の松を庭に地植えするとどうなるか。私は答えを知っている。金沢藩前田家の奥方御殿と呼ばれていた成巽(そん)閣の庭で見た。

 

 庭師の入った庭は品が良く、障子からさす光もほのかに緑だ。軒のそばに幹に異様にらせん状のしわが残っている松がある。幹の肌がおかしい。今はすくすくと庭木として育っているけれど苦しみながら生きながらえてきた歴史が読み取れる。幼少期苦労しながら立身出世した人物から感じ取ることができるオーラが松からも感じられる。

 

 盆栽と言う格式に縛られたな世界で育てられた半生と庭木として育だった半生。

 

 人間の寿命が延びているので、人生設計を変えなければいけないと言われている。「ライフアセスメント」を再度実施しなければいけないと言われている。成功者のキャリアは典型的な場合3つの時代に分けられるという。勉強や青春そのものに明け暮れた時代、技能、特技を身につけ社会で活躍する時代、そして引退し、家で趣味を糧に人間らしい人生のまとめを行う時代などだ。ところが人間は寿命が延びて90歳100歳が当たり前の時代がもう目の前に来ている。仮に100歳を3分割しても一つの時代が長すぎる。

 

 盆栽として認められた時代、庭木として全体の景色の一部となる存在感のある時代、と言う具合に、人間も特徴、特技を2種類以上持たなくてはならない時代が来ているのかもしれない。飛躍のための青春時代、第一特技で活躍する時代、第二の飛躍に向けた準備時代、第二の社会で活躍する時代、そして人生のまとめとレジェンド残しの時代だ。

 

 このような傾向はうすうす感じてはいた。歳を取っても一向に成熟せず、見通しを持てない人が多くなったようにも思っていた。人間の心も体力の衰えが感じられなければ、人生100歳時代に向けて自然とペースを調整しているのかもしてない。

 

 いまより先の時間が途方もなく長いということも心に念じておかなければならない。適当な時に、お迎えが来てくれる時代は終わりなのだ。

 

 100歳で振り返った時、今の年齢での100歳への準備に満足するだろうか?(C)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    なるほど、「人生設計を変えなければいけないと言われている。「ライフアセスメント」を再度実施しなければいけないと言われている。」確かにそうかもしれませんね。

    ひょっとすると、「ライフアセスメント」は‘再度’ではなく、必要があれば何度でも繰り返さなければならないのかもしれませんね。

    私もここらで終盤に向かって「ライフアセスメント」を実施しなければならないのかもしれません。

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