「熊本城復元」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「熊本城復元」

 4月14日の一連の熊本地震の全貌も明らかになってきて、石垣崩壊などの被害が出た熊本城がNHKに公開された。戦後最大級の「文化財被害」でもあり、修復、復元チームも大変な苦労があることがよくわかる。

 

 スケールの大きい石垣が崩落したために、今回初めて石垣の内部構造を見ることができた。石垣の中身はグリ石という石垣表面の石に比べれば小粒の石が大量に詰まっていることを初めて知った。城を研究している学者や城マニアは百も承知のことだと思うけれど私は初めて知り、日本伝統の築城技術に驚いたり、感心したりしている。石垣というのは、城の楯ともなる防護構造であるから。徹底的に石でできているのだ。

 

 グリ石の効果は学校でも習った。鉄道の枕木の下に敷き詰められた石は、一見柔構造であるけれど、地震や車両通過に伴う振動をうまく吸収し、それでいて耐久性があり、修復も容易な優れた技術である。多量の小さな石が果たす大きな役割。

 

 地震後の調査や実験で石垣構造に新しい角度からメスが入れられている。地震で地中の砂が液体のように移動する液状化現象と同じように、石垣の内部のグリ石が液状化現象を起こし流動化したため、石垣表面の石を内部から押し、石垣崩壊につながった。

 

 地震に強いと信じられてきた石垣は、“大”地震に遭遇し、思わぬ弱さを露呈してしまった。熊本市市長の考えでは全体費用600億円をかけて20年後に地震前の姿に戻したいという意向だ。しかし何と言っても文化財の修復なので、いたずらに鉄筋/鉄骨で形だけを復元することが許されない。グリ石構造に戻すのであるけれど、将来熊本地震が再び襲わないとは限らない。その時再び600億円をかけて復元作業をすることを覚悟するかが問われている。

 

 熊本のシンボル熊本城の復元に県民は手を抜くことを許さないだろう。文化財なのだ。LCAもISO 規格で手順は定められている。LCAでもデータの採集の範囲や、計算方法を実施者が都合の良いようにデータや結果を変更解釈することは許されていない。

 

 熊本城復元チームのこれからの苦労を思い、20年後に思いをはせる。

 

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    優れた「日本伝統の築城技術」だったんですね。それでも想定外の大地震だったのでしょう、石垣崩壊となってしまったのですね。

    NHK大河ドラマ「真田丸」で豊臣秀吉が大地震に遭遇する場面がありましたが、その時も同様な被害にみまわれたものと思います。

    ぜひとも再建して欲しいのですが、日本はこれからも地震と付き合っていかなければならない境遇にありますので熊本城の再建はどうすべきなのでしょうか。

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