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「見る」

鳥羽水族館の深海生物「ダイオウグソクムシ」が長期間餌を食べていなかった。今年は“絶食”6年目への突入だった。エイリアン顔の大型のダンゴムシで、展示水槽の中でもほとんど動かない。餌は2112日に約50グラムのアジを食べたのが最後。昨年12月には動物病院でレントゲン撮影もしたが、肝心の内臓はまったく写っていなかった。

そして、今年214日夕刻に、餌にも反応せず、死んでいることが確認された。解剖の結果、胃の中は空だったという。飼育員としては5年余り不安だったことだろう。体の中はどうなっているのか「目で見てみたい」という飼育係の気持ちも分かる。

廃炉計画が進展している福島第一原発の中はどうなっているのだろう?放射線があるため、中で作業できるのはロボットだけだし、計測できるのは優秀なセンサーとレンズだ。「建屋内部を見て状況を把握したい。内部から核燃料を取り出して早く安全な場所へ格納したい」と廃炉関係者は願い続けている。廃炉の一点に向けて各方面の研究も懸命に続けられているに違いない。

高エネルギー加速器研究機構、筑波大などの研究グループは、宇宙線ミュー粒子を使い原子力発電所の建屋内部の核燃料の位置や大きさを特定することに成功した。ミュー粒子は宇宙から斜めに降り注ぐ宇宙線で、ウランなどの密度が高い物質に吸収されやすい。昨年日本原子力発電機構の東海第2原発で、3つの「ミュー粒子線」の計測装置を原子炉建屋から30~60メートル離れた屋外に置いて観測した結果、原子炉格納容器の形状や燃料プールの位置、保管中の核燃料の大きさなどを特定できた。見えるようになったのだ。大型レントゲンです。

“見えるようにする”こと“見てみる”ことが理解に通じる。LCAソフトウェアGaBiではプロセスの計算用モデル組み上げ後、環境負荷結果を自動的に視覚化できるところまで発展してきた。

「眼圧が高い。緑内障にならないように、点眼液をわすれないように」と診断されて以来、“見る”ことの価値に敏感になっている。(A

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    様々な状況や現象を視覚化できれば、とても理解し易くなりますね。例えば電子辞書は、カラーの写真や動画も見ることができるので助かります。

    ただ原子力発電所の建屋内部の他にも可視化が難しい物や現象がいろいろとあるのでしょうね。
    例えば、社会インフラの老朽化が話題になっていますが、橋やトンネルの内部の状況が視覚化でき、劣化度合いを把握することが出来れば、改修の優先順位を適切に決めることができますね。

    見ることの重要性を認識し、見えることに感謝しなければなりませんね。点眼液をお忘れないように!

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