「K点越え」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「K点越え」

そういうことだったのか。スキージャンプ競技実況でかつてよく使われた“K点越え”という表現は選手の技術が超人的な領域に到達していることを讃えていた。最近も使われているけれど、何かレポーターのトーンも下がって、「K点を越えるも、○位(1位であることは少ない)でした」などと冷静な表現に格落ちしている。

日経新聞はこのK点の定義の変更を取り上げて記事にしてくれた。「あなたの常識はみんなの非常識」と言われたのかも知れないけれど、古い情報の大掃除をしてもらったようで、頭の中までシャンプーで洗ってもらったような爽快感を感じている。

K点とはドイツ語の「Kritischer Punkt」の略でこれ以上跳ぶと危険であるというジャンプ競技場の極原点を意味していた。ところが実際の競技では、選手の技量の進歩とスーツや用具の改良が相まって飛行距離(?)は年々伸びていった。つまり、K 点越えが多くなったため、世界のジャンプ競技場はランディングバーンの拡張し、結果としてジャンプ台の大型化により安全な飛行が実現できることを目指した。2004年国際スキー連盟は「一流選手にとって、K点は目標とする限界点を示さなくなっている」として安全に着地できる最大距離の目安としてヒルサイズ(Hill SizeHS)を導入した。日本がメダルゼロとなる瀬戸際で荒川静香選手が金メダルを取ったあのトリノ五輪(2006)……あの時、既にジャンプ競技では極原点を意味する指標は“ヒルサイズ”だったのだが、日本選手の不調で全く気がつかなかった。今年16歳の高梨選手の活躍でジャンプ競技が注目を浴びているため、2013年になって私はジャンプ用語の再整理をしているという次第だ。

今、スキージャンプ競技で使われるK点というのは「Konstoruktionspunkt=建築基準点」の略で頭文字は同じKなのだが、昔と意味が違う。ジャンプ競技場の構造基準値という意味であって、目標値であることは確かだが、安全と危険を分ける点ではない。

例えば、2000本安打を打った選手はさらに記録を伸ばすことを踏まえてこういえばいい。「これは私のK点に過ぎない」と。

LCAを考えるときは、極限を示す昔のK点(今のヒルサイズ)よりも建築基準値を示す現在のK点がコンセプトに合う。合理的にデータを集め、精査したモデルを作って環境負荷の全体像をつかむ。先ず目標はK 点をクリアする。(L

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    以前の「K点」は極限点を意味し、現在では「ヒルサイズ」となり、新たな「K点」は建築基準点を意味しているということなんですね。知りませんでした。たいへん勉強になりました。

    これも高梨選手大活躍のお陰ですね。来年のソチオリンピックでは是非とも金メダルを取ってもらいたいです。

    スキージャンプと言えば、私の世代ですと、1972年の札幌オリンピックの‘日の丸飛行隊’を思い出します。その大活躍に心躍りました。

    フィギュアスケートでは、米国のジャネットリン選手が尻もちをついて確か銅メダルに終わりましたね。当時は日本選手のメダル獲得は遠い時代でした。それが今では世界最強ですね。時代は変わるものです。

    1972年と言えば、歌謡曲の全盛時代で作曲家 筒美京平の曲が大ヒットしていました。その前年に登場した天地真理、南沙織、小柳ルミ子に加え麻丘めぐみ、郷ひろみなどのアイドルも登場しアイドル時代の幕開けでしたね。
    年末は、小柳ルミ子の「瀬戸の花嫁」とちあきなおみの「喝采」がレコード大賞を争っていました。ヒット曲もたくさん生まれる時代でした。

    1972年は、私の好きな年の五本指に入ることは間違いありません。「K点」を切っ掛けに懐かしく思い出してしまいました。

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