「津波レーダー」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「津波レーダー」

気象情報会社という企業の存在感が分かってきた。このような言い方は、気象情報サービスに無頓着な人間の、大変失礼な発言に違いない。自然との付き合い方をもっと身に着けたい。古老は山の残雪や風の向きをみて農耕作業のタイミングを教えてくれた。戦国の軍師は天候を読んで、攻撃のタイミングや、戦力の布陣を進言していた。気象情報から受ける恩恵は今でも相当なものがある。マラソンレースを見てみれば良く分かる。

素晴らしい。35日気象情報会社ウェザーニューズがレーダーを使って津波を観測するシステムの運用を3月から始めると発表したことだ。震災当時、海上保安庁の巡視船のレーダーがまだ遠方の津波を捉えていたことにヒントを得て船舶の衝突防止用レーダーを応用した津波レーダー設備をつくりあげた。東日本大震災で被災した青森県から茨城県までの沿岸部9カ所に設置されている。

海面に当たって跳ね返ってくる電波をとらえることで水位を調べることができるので、

沖合約30キロメートル(岸に到達する15分前)の3メートル以上の津波を捉えられる可能性がある。24時間体制で監視し、インターネットや携帯電話へのメールサービスを通じて、利用者に伝える。「○月○日○時○分ごろ、○キロ沖合で、津波を検知しました。あと○分で到達する可能性があります」といった内容になる。地震予知に比べ迫力が段違いだ。

当面は東日本大震災で復旧・復興作業に携わる人たちが安全を確保できるよう被災地を舞台に運用するが、今後、他地域もレーダーの設置を進めるという。今後、津波から身を守る強力なツールに育って欲しい。

この地味なニュースは日本中で大きな関心を集めたようだ。翌日ウェザーニューズの株価が一段上値を追う動きになり、昨年12月以来の2200円台になったのである。発表の翌日36日の終値は91円高の2247円となった。

津波の反射波から津波の存在を知る。存在するものを計測した情報の強み。LCA(ライフサイクルアセスメント)も現場でデータを集めるから説得力がある環境負荷の計算ができる。現場密着型のデータが迫力のある解析のスタートだ。

ウェザーニューズは今年の桜の開花は全国的に過去5年の平均よりも遅くなりそうだと3月上旬に発表した。1500本以上の桜のつぼみの状況を調査してデータ化する。現場密着とはこういうことでしょう。(L

コメント 2件

  1. skylineR31gts Says:

    そうでしたか、実際に発生した津波を沖合で捉えるところまで進んでいたのですね。知りませんでした。津波の実態を計測できれば、到達時間や波高の精度が格段に良くなるのでしょうね。
    私の学生時代の恩師は、民間企業で船のディーゼルエンジンの研究・開発に従事され、定年退職後に大学教授として小型船舶ディーゼルエンジンの研究を指導されていました。私が会社に就職できたのも先生のおかげでした。
    先生は、「開発十戒」という開発者としての心得を取りまとめられ、その中で「実体の把握」の重要性を訴えておられました。現場重視を実践されていました。
    87歳でお亡くなりになられて6年が過ぎましたが、ふと先生のことを思い起こしました。

  2. 匿名 Says:

    恩師の思い出につながったとのこと。そのお話を聞いても心が温かくなります。ありがとうございます。
    先生の「開発十戒」もきっと的を射ている十戒なのでしょうね。

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