「世界遺産になる町」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「世界遺産になる町」

北イタリア地中海沿岸の小さな漁港町。港に面する広場では漁師が網を繕っており、水揚げの市場になっている。広場の背後に切り立った崖や山肌が迫る。車が通れる緩い勾配の道が壁に張り付き、踊り場のようないくつかの広場を持つ階段が住宅地域につながる。東日本の被災地の復興都市計画でこんな町は現れないのか?

東日本大震災の被災地で進んでいる海岸堤防の復旧計画を巡り、被災した住民や専門家から異論が出ているという。堤防が目隠しになってしまうというのだ。被災した各県は国の基準に基づき、明治三陸津波など「数十年~百数十年」の間隔で起きる津波を想定し、堤防の高さを設定した、今よりも高い堤防の計画だ。ある地区では今までの6.4メートル、4.5メートルの堤防の代わりに14.5メートル、12.8メートルの高さが提案されているという。

15メートル、5階建てビルの高さの壁が海のふちにできることになるのか。……。高すぎる堤防に反対する人の言い分も分からないではない。確かに目隠しされれば、いざというときに海がどうなっているのかと堤防に上ってでも海を確認したくなるのは人情。津波の時には避難行動が遅れる可能性すらある。

堤防を作る目的を冷静に考えたい。地域産業の崩壊を防ぎたい。住民の命も守りたい。地域の文化と伝統も守りたい。将来を託す子供を育てる環境を作りたい。「津波が実際にどのような高さ、方向で来るのか予測できない。堤防の高さからは安全を導き出せない」と訴える人がいるともいう。堤防を高く、することが必ずしも間違っているとも思えないが、もっと考え抜いた解はないのだろうか。私は都市計画の素人だけれど、欲を出している。

「高い波が来るので、高い堤防を作った」という説明を超えるもっと魅力的な解が欲しいと思う。海と会話のできる町。世界遺産になるような考え抜いた町をつくろう。

LCA(ライフサイクルアセスメント)では解析の目的がその作業の中身を決めてしま。現状から改善したい、新しい挑戦的な試みの環境側面を見たいというような目的の場合は覚悟が必要だ。緻密なデータ収集と解析モデルの組み立てが必要なのだ。どの程度の環境負荷かを単純に知りたいという場合ならLCAプログラム付属のデータをうまく使えばよい。

目的でその後の作業が決められる。目的を心に決める時が勝負の第一歩。(C

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