「のんびり交通機関」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「のんびり交通機関」

ロンドンの東部、テムズ川を挟んで点在する五輪会場の行き来がしやすいようにロープウェー建設が計画されている。なんでも201110月になって有力な出資者が現れ、計画はめでたく前進するらしい。20127月のオリンピックに間に合うのだろうか。詳細な路線ルートも知らないし、ゴンドラがどのくらいの大きさなのかも知らない。イメージを勝手に膨らませて景色を想像している。五輪会場を結ぶロープウェーというのも、どこかノスタルジックなアイデアで、古い街並みも残るロンドンにマッチしている。

実は都市交通システムに興味があり、ありとあらゆる交通輸送手段を調べてきた。大学時代以来、抱き続けているコンセプトは“Area and Line Linkage System(地域と地域を線で結ぶシステム)。つまり、地域を線でつなぐある程度の輸送規模を持つマストランジット(例えば電車や飛行機)と地域の中できめ細かく移動をカバーする交通手段(例えば乗用車など)の組み合わせ。これを下敷きとして交通計画を進めれば、虫食い的に拡大する都市部での交通混雑を緩和できないだろうかと考えてきた。

限定された地域ではライン部分を受け持つ交通機関として、ロープウェーというのもバリエーションの一つだった。ロープウェーは鉄塔建設という都市景観にそぐわない面があるが、地形や既存の建造物には一切束縛を受けずに建設できる。観光地でもロープウェーが成り立つことから想像できるように、インフラ建設費用、運用費用は他の交通機関に比べて極めて安い。

市街地のロープウェーでよく知られているのが、ニューヨークマンハッタン島の東を流れるイーストリバーのルーズベルト島とマンハッタンを結ぶロープウェーだ。大都会でのロープウェーという話題性はあるが、ルーズベルト島そのものがそれほど魅力的に語られることもないため、ロープウェーも無視されてきた。話題性のある五輪とロープウェーの組み合わせで、ロープウェーが再び話題になるときが来ることを期待している。何といってもあのゆったり感は都会の人に生活のアクセントを提供してくれそうだ。

LCA(ライフサイクルアセスメント)でも環境に配慮した交通機関、交通システムは何かというテーマは興味が尽きない。マストランジットから自動車まで環境配慮が徹底してきている。これからは“+(プラス)”都会の人の心を癒す、ストレスを与えないような、のんびり交通機関も大切になるだろう。‥‥‥評価尺度が変わるかもしれない。(L)

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