「街の準結晶」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「街の準結晶」

正五角形だけでは、平面を埋め尽くすことはできない。正五角形は周期性と相性が悪い。五角形の組み合わせでは隙間ができて、安定した構造は作れないと考えられていた。ところが、1982年イスラエル工科大学のダニエル・シェヒトマン特別教授はアルミニウムとマンガンを急冷して原子が五角形に並んだ構造を発見した。そして2011年のノーベル化学賞を受賞する。幾何学パズルの答えが、現実の物質として存在していたのだ。

準結晶と名付けられたこの物質は、結晶のように原子が周期的に並んでおらず、一方でアモルファスのように不規則でもない複雑な秩序を持っているという。物質の哲学者とでも呼びましょうか?(言葉遊びです。何となく…。)

金属の結晶は面にそって滑るため、曲がりやすいが、準結晶は五角形を基本とした立体的な結晶からギザギザが突き出ているため噛み合って形が変わりにくい。そのため硬くてもろくなりやすいが、工夫すれば、硬いが脆くない材料が作れる。例えば、準結晶構造を持つ鉄を軟らかい鉄の中に混ぜることで、非常に丈夫な鉄ができ、かみそりの刃、目の手術用の針などに応用されているという。まだまだ材料として特異な性質はあるらしい。

結晶の世界では継子扱いだった準結晶もノーベル賞受賞を機に再出発、再評価だ。

車の世界で準結晶と同じように再評価されて、その潜在力が見直されているのが、ガソリンエンジン駆動の超良燃費車だろう。車はモデルチェンジするたびに、新開発の技術を織り込むため、車は大きくなりがちだが、この超良燃費者は企画段階から燃費向上を至上命題として開発されている。燃費30キロのレベルまで来ると、燃料給油頻度が少ないと感じるユーザーが多いはずだ。そして、車体の軽量化など進めれば、もっと燃費は伸びることが予想される。

これから日本では化石燃料の無駄使いがなく、引き締まったボディーの小気味いい車が街中を走る景色に変わるだろう。LCAEVとガソリン車の比較をやってみた。かつてはEVが勝っていたが、ガソリン車が勝る時代が来ても不思議でない。環境車といっても電気自動車、ハイブリッドなどに淘汰収斂するのではなく、ガソリンエンジン車、燃料電池車を含めて、多様化の時代が来るに違いない。各方式の開発にはそれなりの哲学が必要だ。

結晶は塩のような立方体や雪のような六角形ばかりではない‥こともわかったし。(L

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