「シズル感」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「シズル感」

アインシュタインの特殊相対性理論では、光速を超えるものはないと言っている。この科学常識を揺さぶる実験結果が報道された。スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究機関の加速器から打ち出された素粒子ニュートリノが、約730キロ離れたイタリアの研究所の地下検出器に到着するまでの距離と時間を測定したところ、光よりも1億分の6秒ほど早く到達した。“驚きと知的戸惑い”と言える。こういう性格のニュースも珍しい。

今回の発見について、欧米メディアも「もし本当なら」との条件付で速報した。「確認されれば、革命的な発見」「衝撃的。我々にとっては、大問題になる」「物理学者は新たな理論を構築する必要に迫られるだろう」等々。

アインシュタインの理論では、「光速を超える物体は「負の質量」を持つことになり‥‥‥、その上では時計が未来から過去へと普通とは逆に進む‥‥‥。結果から原因が生まれることになり‥‥‥、未来から過去へ旅するタイムマシンも可能になるかもしれない‥‥‥」という。よく理解できないが、何となく、今回のニュートリノの超光速実験結果が正しければ、科学常識破壊の新時代が来る可能性もある。

しかし、このニュース、“ときめき感”がない。かつての最初の日米テレビ中継の成功や月面に着陸した時のような技術と科学の進歩の素晴らしさ、さらに限りなき可能性の広がりを感じたウキウキした感覚がない。多分、自分の心の中では50%以上、計測誤差だったと発表されると考えているし、仮に、この実験が正しくても、生活に大きなインパクトがすぐ来ないと不遜にも思っているのだ。今から将来に向けて準備しなくてはならないことも思い浮かばない。「おいしい」と思うツボを刺激する“シズル感”もない。生活と密着する点が不明な情報だ。

LCA(ライフサイクルアセスメント)は生活、産業活動に密着して活用される情報だという点がすごい。称賛すべき着眼のポイントはライフで環境負荷を分析することだ。ライフの段階ごとに結果を見るので、どこを改良すべきかすぐわかる。日本の自動車産業はLCAの先駆者として忍耐強く解析を進めてきた。材料や製造工程もチェックし、その結果、日本の自動車の燃費を押し上げ、電動動力の利用まで構想を発展できた。他人の結果を見てマネすることではここまで力強く前進しない。(C)

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