「東京タワー」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「東京タワー」

芝公園付近をドライブしていて気がついた。「やはり曲がっていたか」。シャープペンシルの先端から突き出した芯にあたる部分が曲がっている。東京タワーの先端部、地上アナログ波放送用アンテナが、3.11の激しい振れで曲がったことは新聞で報じられていた。事実かもしれないが、何となく見たくなかった。

東京タワーも土足で部屋に上がりこむような、非礼なあの地震で傷を負ったということか。昭和3310月に竣工した。都電の3番に乗ると仰ぎ見ることができた東京放送(TBS)のテレビ塔、日本テレビのテレビ塔、それにNHKのテレビ塔などは東京タワーの完成を待って次々と解体され、東京から姿を消した。東京の活力のシンボル的新電波塔が東京タワーだった。

パリのエッフェル塔によく似ているが、今回被害を受けたアンテナ部が完成するまでは変な格好だと思っていた。アンテナ設置にあたり、アンテナ周りを四角い足場で囲っていた。先端に羊羹が載っているような景色だった。それが、足場が取れてすっきりしてホットした記憶がある。「使用している鉄の量がエッフェル塔に比べ少ない。贅肉をそぎ落とし、構造力学的に検討した塔なのだ」と宣伝もされた。あの頃の時代、それなりにきれいだと思い、それなりに満足していた。鉄も無駄にしないあの頃の日本。

パリのエッフェル塔に上ったことがある。エッフェル塔は重厚でいい形をしていた。たとえ東京タワーがエッフェル塔もどきであっても、本家は動じない美しさと威圧感を持っていた。(LCAで環境負荷を計算すると材料の使用量が少ない東京タワーが勝つかもしれないが、それはさておき‥‥‥)

中国で北京・上海高速鉄道(中国版新幹線)を巡り日中が火花を散らしているという。中国の高速鉄道車両の一部は日本の技術をベースとするが、中国側は、最新車両について独自開発と主張しており、高速鉄道計画の受注合戦が始まった米国などで特許申請を始めた。

新幹線技術は日本の頭脳の結晶みたいなものだと聞いている。東日本大震災で大きな被害を受けたが、時速300キロ近い速度で走っていたあの新幹線では、すべてのお客を無事に最寄り駅に届けている。地震の兆候をいち早く察知し、システムを非常モードに変えたからだ。これは素晴らしいことだと思っている。日本の新幹線技術が後続特許などに足元をすくわれないように願っている。(L)

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