「時間の質」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「時間の質」

 1月になっても柿を売っている。密封しているビニール袋には「この柿は収穫した中から高品質のものを厳選して冷蔵貯蔵しております。安心してご賞味ください。開封後はしばらく置いて食べていただきますと、一層おいしく召し上がれます。」と印刷されている。“しばらく”というのがアバウト過ぎると思うが、おいしく食べるという期待を膨らませるのに必要な時間だ。

 

2010128日早朝、中部電力の四日市火力発電所(三重県四日市)内にある変電所で、瞬間的に電圧が低下するトラブルが発生した。東芝、コスモ石油、東ソーなど146カ所の生産現場に影響が出た。大型工場が影響を被り、一部操業を停止する事態になった。電圧低下時間0.07秒。こんなわずかな時間が操業停止につながるのかとビックリする。影響の大きい0.07秒と言えようか。

 

半導体製造では埃一つない状態が必要だ。いったん設備が止まると一通り設備の洗浄や点検を経ないと再開できないという。精密装置は、電圧が2割を超えて下がり、その状態が0.01秒以上続くと装置の能力に影響を受けるという。日本の高い品質の製品製造を支えているのは、選別された材料、高度に調整されている機械、熟練した作業員、そして安定した電力供給ということらしい。

 

2010227日冬季オリンピック(バンクーバー)で女子団体追い抜き(パシュート)の決勝で、田端、穂積、小平の3人はドイツチームに0.02秒差で破れ2位となった。1400メートルを6周すべり先にゴールを目指す追い抜き競技での0.02秒である。本当に悔しい0.02秒、距離にして26.25センチ差だったなあ。

 

車のエアバッグは衝突を感知してから膨らむまで0.02秒、急ブレーキを踏むまで0.8秒。まばたきは0.03秒。小惑星探査機「はやぶさ」が帰還するまで7年。金星探査機「あかつき」が金星に到達するまで7ヶ月。時間に係る想い出、思い入れは様々だ。

 

今年は、時間の“質”(クオリティー)にこだわってみたい。

LCA(ライフサイクルアセスメント)実施や持続可能な社会に向けたもろもろのプロジェクトにおいても費やした時間の質にこだわる姿勢だ。準備段階から上質の時間を費やした計算や解析は“正確な結果”と“正しい判断”を導いてくれると思う。(A

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