「クニマス」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「クニマス」

クニマスが山梨県西湖で見つかった。絶滅種と考えられていた。秋田県田沢湖のみに生息していたが、1940年、電力供給増加のために、田沢湖の水を利用した水力発電が建設された。田沢湖の水量を賄うため、玉川の水を湖に導入したが、その水が強酸性の水であったため、クニマスは姿を消した。そして2010年西湖で発見された。

 

1935年、人工孵化の実験をするために、田沢湖からクニマスの受精卵が日本の各地に送られた。その結果、西湖で子孫が残っていたらしい。

 

玉川の水は強酸性であることは当時も分かっていたようなのだが、国は戦時体制一色。生物種保護、固有種保護など省みられなかった。残念ながら、視野の狭い決断だった。

名古屋市で10月に開かれたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)には179カ国から約13千人が参加した。先進国も途上国も生物多様性条約に真剣に取り組んでいる。時代も着実に変わってきている。

 

確かに、絶滅種再発見のしらせは大きなニュースであるが、「魚」がみつかったと言うだけで、これほど広く語られるのだろうか。発見物語にイラストレーター・タレントのさかな君(東京海洋大学客員准教授)が絡んでいるところが大きいように思う。もし、仮に、西湖の釣り人が京都大学の中坊徹次教授(魚類額)に鑑定を依頼して分かったということではこれだけ話題になったかどうか・・・?

 

さかな君が中坊教授からイラストを頼まれた。絶滅であるクニマスを描くために、几帳面に、参考までに近縁種「ヒメマス」を日本全国から取り寄せた。西湖のサンプルを見て「ひょっとして」と思い、中坊教授に連絡した結果の発見である。

そして、さかな君の「ギョギョ!」というギャグでTV視聴者の記憶に残り、天皇陛下も天皇誕生日のお話でクニマスの話題をとりあげられた。さかな君、おめでとう。

記憶に残るニュースには魅力的なキャラクターが必要なんだ。

 

クイズ番組で登場した頃、超人的に魚に詳しく、イラストも細部描写がしっかりしている好青年(?)、さかな君。魚の話題でいつも明るく、ニコニコ・・・といったイメージ。

「“一芸に秀でるといいことがある”分野」でも今年の記憶に残るニュースだった。(L)

コメント

コメントをどうぞ