「熱波」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「熱波」

総務庁消防庁の発表によると、この夏、熱中症で病院に搬送されたひとが全国で4万人を超え、このうち搬送直後に死亡が確認された人が145人に上ったという。搬送者は20082万人台、2009年は1万人台であることを知ると、今年の暑さは尋常ではない。

私も今年、デジタル温度計/湿度計を2個も買ってしまった。温度設定をエアコンに任せられなくなっているのだ。

 

この季節にはいえることかもしれないが、大気の熱を何とかうまく利用してもらいたい。

 

直感的に考えれば太陽熱発電が候補。太陽熱発電は太陽光を鏡で集め、セ氏380600度程度の高熱で水を沸騰させる。その水蒸気でタービンを回して発電する仕組み。太陽熱発電のコストは日照条件が良ければ1kWh当たり1020円と、太陽光発電の半分以下で済む。太陽エネルギーを電気に変換する効率も太陽熱発電は約20%と太陽光発電(15)を上回り、同じ量の太陽光からより多くの電気を作ることができるという。

我が国企業が力を入れている方式として「ビームダウン型」と呼ぶ新しい太陽熱発電方式もある。鏡を使ってタワー上部に集めた太陽の熱と光を、別の鏡でもう一度下向きに反射させ、タワーの下で熱エネルギーとして取り出す。

 

石油危機直後の1981年、世界初の太陽熱発電所を香川県旧仁尾町の塩田跡に政府が約100億円を拠出して実証施設を造った。

脱石油を目指す新エネルギーの有力候補として期待が高かったが、稼動から2年半で運転は打ち切られ、ほどなく発電所は解体された。石油危機が去り、太陽熱発電への期待が急速にしぼんだのだ。日本は太陽熱発電で過去に手痛い失敗をしている。実験推進者の実用化への熱意が薄かったのだと思う。それに技術もまだ追いついていなかったのだと思う。

 

いま、高効率タービン、反射鏡、反射鏡太陽追尾装置など技術も進歩している。それになんといってもこの暑さ。エネルギーの塊をむざむざと見送る手はないと思う。太陽熱発電のマーケットも日本だけでなく世界に広がっている。

 

LCA(ライフサイクルアセスメント)は発電、送電システムの環境面での実力把握にも利用できる。やってみたい仕事だ。日本としても太陽光発電「元祖」の意地があるのではないか。私も意地を張るのはすきだ。日本の基盤技術に育ってほしいと願っている。(A)

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