海の森水上競技場のわきにある風力発電用風車は3枚羽根だ。どこにあっても風力発電用風車は3枚羽根だと思い込んでいた。この5月から北九州市沖で実証実験が始まった浮体式洋上発電の場合、風車の羽根は2枚。
竹トンボのように一対の羽根が軸についている。今までの浮体式洋上風力発電では、陸上で実績のある風力発電装置をいかに洋上に安定して浮かべるかということに力を注いできたのかもしれない。日本は台風の通り道だから風車の土台が揺れないようにしたい……と私も思う。それに海上だから……もっと大型の風車にしたいという欲もある。
従来の風車の浮かせ方は、釣りの浮きのような土台の先端部に風車を載せる。浮きといっても水面下100メートルほどの円柱だ。ところが、今までの実証実験結果は芳しくないらしい。採算が合わない。巨大構造物なので設置場所は陸からかなり離れている。送電距離も長くなり設備の維持管理も大変だ。発電コストがかかりすぎてしまう。
発電コストを安くするには、建造費を抑さえることも一案だ。むやみに複雑な構造にしない。風車もシンプルにする。部品の材料使用量を抑えて軽くする。そして2枚羽根が今回採用されている。軽くなれば風車の土台となる浮体構造も小さくなるし移動も簡単で、建設部材の輸送費も節約できる。水面下の構造物もせいぜい10メートル以下に収まる。だから水深50メートル程度の陸から遠くない場所に設置できる。まさに「燃費の良いクルマはどうすればできるか」というテーマと同じようなエンジニアリング的検討が2枚羽根風車実証実験では行われた……と思われる。
自動車の場合、軽量化のために、鉄は強度を上げて薄く、軽い金属や樹脂を積極的に利用する。加えて、燃費の良いエンジンを開発してきた。
3枚羽根がいいのか、2枚羽根がいいのかはわからない。まだ実証実験か継続中であり、日本で浮体式洋上風力発電が可能かどうかも結論が出ていない。しかし、発電システムという巨大構造物でも“軽量化”が発電コストに効くということが……新鮮な刺激だ。
何事もぜい肉をそぎ落とす……と……いいことがありそうだ。(A)
6月 26th, 2019 at 9:00 PM
私の職場から車で20分程度海側に走らせると風力発電施設が見えます。その中に2枚羽根があるのですね。めったにそちらの方には行かないので知りませんでした。
2枚羽根が良いのか、3枚羽根が良いのか、どちらが総合的に効率が良いのですかね。結果が楽しみです。
間違っているかもしれませんが、確か強風過ぎると稼働させないのではないかと思います。これから台風シーズンとなるので、台風のエネルギーを少しでも頂けないかと思います。雨の恵みは頂けているのですが、台風の強風は被害ばかりだと損なので風力のエネルギーを頂きたいですね。
「何事もぜい肉をそぎ落とす……と……いいことがありそうだ」確かにそう思います。