「マテリアルズ・インフォマティクス」 | Sphera Solutions, Japan株式会社


「マテリアルズ・インフォマティクス」

 ニュースで聞いたのだが、手塚治虫の漫画の構成を分解して、人工知能(AI)で情報を分析し、その情報を再構成して、新しい手塚漫画を作り出すというプロジェクトがあるようだ。正直、あまり期待していない。

 

 子供の頃から手塚作品が載っている雑誌“少年”などを手にするたびに空想力が刺激された。あの高揚感は今でも忘れない。手塚治虫は読者に新鮮な刺激を与え続けてくれた。一方AIは過去の物語の引用になりがちだ。

 

 化学会社20社は国内の特許情報を活用して先端素材を開発するシステム(マテリアルズ・インフォマティクス)を2021年度から共同で運用するという。幅広い情報を人工知能(AI)で分析し、素材の製造方法を導き出すことを目的としている。

 

 これから次世代通信規格「5G」や電動車用に先端素材の需要が急増する。日本企業は何としても素材開発の効率化を進めなければ世界に遅れを取ってしまうのだ。

 

 「特許情報に記述されているその素材を製造する過程の化学反応などで得られる化合物の情報は広く活用できる。各社はこの点に着目し、国内の特許情報から化合物の製法と物性をデータベース化する。特許情報から得られたデータをAIがシミュレーションして、実験せずに求められる条件に合った化合物の製法を導き出し、開発を効率化する。」(日経新聞2月26日の記事から一部を引用)

 

 機能面に注目した素材開発の効率化を目指すのであれば、同時に環境面でも優れた材料開発を並行して進めてほしいと思う。LCAでプロセスのシミュレーションを実行してエンジニアリングの知見を蓄積してほしい。この分野は人間が主役だ。

 

 AIと人間。AIは情報整理のためのツール、記憶装置の域を出ない。LCAでの化学プロセスシミュレーションは全体を把握するのに最適ではないだろうか。

 

 AIで新しい素材が生み出せるかはプロジェクトの指揮者のセンスにかかっている。(L)

コメント 1件

  1. skylineR31gts Says:

    素材の重要性をもっと認識すべきなのかもしれませんね。いろんな物の骨格を成す基本ですものね。

    素材については、昔からありがたく思っています。例えば、形態安定Yシャツがそうです。以前はクリーニングに出すか、自分でアイロンをかけるか、しなければ使用に耐えられなかったのですが、形態安定では、洗濯してつるしておくだけ、と便利です。今ではストレッチの効いたジーンズやスーツまであり、とても重宝しています。

    素材の革新は世の中の進歩の重要な役目を担っていますね。

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